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内田がPK失敗…10人の鹿島はPK戦で力尽きる

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[6.24 ACL決勝T1回戦 鹿島2-2(PK4-5)FCソウル カシマ]

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は24日、東地区の決勝トーナメント1回戦を行い、カシマスタジアムではG組1位の鹿島アントラーズとF組2位のFCソウル(韓国)が対戦した。前半5分にFW興梠慎三が先制ゴールを決めると、1-1の後半5分にはMF青木剛が勝ち越しゴール。ところが、後半19分にMF小笠原満男が退場となり、数的不利に立たされると、同33分に失点した。2-2のまま延長戦を含めた120分間でも決着が付かず、PK戦に突入。鹿島は7人目のDF内田篤人が失敗するなどPK4-5で敗れ、ベスト16敗退が決まった。

 鹿島は4-4-2のシステムで、GK曽ヶ端準、4バックは右から内田篤人、岩政大樹、伊野波雅彦、パク・チュホと並んだ。中盤は小笠原満男と青木剛のダブルボランチ、右に野沢拓也、左に本山雅志が入り、マルキーニョスと興梠慎三が2トップを組んだ。
 FCソウルは5-4-1に近い守備的な3-6-1。ダブルボランチの一角に韓国代表MFキ・ソンヨンが入り、1トップにはFWデヤン・ダムヤノヴィッチが位置した。

 立ち上がり、最初の決定機をつかんだのはアウェーのFCソウル。キ・ソンヨンの右FKからDFキム・ジンギュがDFの前に入り込み、右足で合わせたが、シュートはゴール上へ大きく外れてしまう。

 すると、その直後のカウンターから鹿島が先制点を奪う。ハイボールに興梠と競り合ったDFパク・ヨンホが頭でクリアしたボールがキム・ジンギュに当たって自陣ゴール方向に転がり、興梠の目の前へ。そのままドリブルで持ち上がり、GKと1対1になった興梠が右足で冷静にゴールに流し込んだ。

 先制した鹿島だが、単純なパスミスが目立ち、なかなかリズムに乗れない。逆にセットプレーなどでピンチを招き、前半22分にはカウンターから同点ゴールを許した。

 ダムヤノヴィッチが右サイドに展開したボールをMFイ・チョンヨンが中央にグラウンダーのクロスを送ると、岩政と内田が交錯。クリアボールがゴール前にこぼれ、MFイ・スンヨルに同点ゴールを決められた。

 鹿島はプレスがかからず、その後もFCソウルの攻撃にさらされる時間が長くなった。FCソウルは5バック気味の守備的な布陣で引いて守り、ボールを奪うと素早く速攻に転じる。前半23分にはスルーパスに抜け出したダムヤノヴィッチのシュートがゴールポストに当たり、ゴールライン上を転々としていたボールを伊野波がかろうじてクリア。同31分にもキ・ソンヨンの左CKに合わせたダムヤノヴィッチのヘディングシュートがクロスバーを直撃した。

 1-1で折り返した後半5分、小笠原の左CKにフリーで飛び込んだ岩政がヘディングで叩き付けると、GKがかろうじてCKに逃れる。2度目の左CKで小笠原のキックに合わせたのは青木。青木のヘディングシュートは今度こそゴールを割り、2-1と勝ち越しに成功した。

 FCソウルは後半15分にDFキム・チゴンを下げ、MFコ・ミョンジンを左MFに投入。4-4-2にシステム変更して反撃に出た。

 後半19分、鹿島に思わぬアクシデントが襲う。小笠原が2枚目の警告を受け、退場に。主将を失い、数的不利を余儀なくされた鹿島は同21分に興梠に代えてMF中田浩二を投入。マルキーニョスを1トップに置いた4-4-1で逃げ切りを図った。

 カウンターには切れ味のあったFCソウルだが、守りを固めてきた鹿島を攻めあぐね、なかなか数的優位を生かせない。鹿島は逆にカウンターからチャンスを伺い、試合を決定づける3点目を狙った。

 ところが後半33分、FK一発でFCソウルに同点ゴールを許してしまう。左45度の絶好の位置で得たFKをキ・ソンヨンが右足でゴール右上隅に沈め、2-2。試合を振り出しに戻した。

 10人の鹿島は終盤、FCソウルの猛攻にさらされた。ロスタイムにはイ・チョンヨンの右クロスをパク・ヨンホがオーバーヘッドシュート。ここは伊野波が体を張ってクリアし、試合は2-2のまま延長戦に突入した。

 鹿島は延長前半3分、左サイドでマルキーニョスが粘り、ゴール前に折り返すと、フリーの野沢がシュート。しかし、大きく上に浮かしてしまう。延長後半14分には途中出場のMF増田誓志の右CKに中田が頭で合わせるも、惜しくもクロスバーを直撃。10人ながら死力を尽くした鹿島は勝ち越しゴールこそ奪えなかったものの、FCソウルにも逆転ゴールを許さず、2-2のまま120分間が終了した。

 PK戦の前には選手、スタッフで円陣を組み、オリヴェイラ監督がスタンドにまで届く大声で猛ゲキを飛ばした。先攻の鹿島は1人目の中田、2人目の増田がともにGKに止められ、失敗。しかし、曽ヶ端もFCソウルの1、4人目のキックを見事に止める。鹿島は3人目のダニーロ、4人目の岩政がともに成功。2-2に追いつくと、5人目のマルキーニョス、FCソウルのキ・ソンヨンはともに決め、3-3でサドンデスに突入した。6人目はともに成功したが、7人目の内田がゴール上に浮かしてしまう。FCソウルはパク・ヨンホが冷静にGKの逆を突き、5-4。FCソウルが準々決勝進出を決めた。

<写真>早すぎる敗退。がっくりと肩を落とす鹿島イレブン
(取材・文 西山紘平)

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