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[日本クラブユース選手権(U-18)]C大阪U-18、“情熱”の日本一

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[8.2 第33回日本クラブユース選手権(U-18)決勝 C大阪U-18 1-0 F東京U-18 ニッパ球]

 優勝決定の瞬間、セレッソ大阪U-18(関西2)のU-20日本代表候補DF扇原貴宏主将はベンチへ向かって一直線に走り出し、中谷吉男監督に飛びついた。相手の5倍以上のシュート16本を放ちながら連覇を逃したFC東京U-18(関東3)が落胆の表情を見せるその隣で、13年ぶりにクラブユースチーム日本一に輝いたC大阪U-18は喜びを爆発させた。
 昨年のJユースカップ決勝でG大阪ユースに2点差をひっくり返されて優勝を逃すなど、なかなか頂点に立てなかったC大阪の日本一。扇原は「監督のところへ行ったのは監督に感謝の気持ちを伝えたかったから。(今春から指揮を執る中谷)監督の熱い気持ちが選手にも伝わっていた。昨年優勝できなかった悔しさをずっと持ってきたけど、日本一という目標があったから頑張ってこれたと思う」と表情を崩した。

 “C大阪らしさ”を発揮した決勝だった。王者・F東京の強力攻撃陣に対して、ファウル覚悟の厳しいチェックを繰り返し自由を奪った。それでも相手に打開される場面があったが、届かなくてもあきらめずにプレッシャーをかけて相手のミスを誘った。後半15分にはU-17日本代表DF杉本健勇を前線へ上げて「勝負に出た」(中谷監督)が、相手がアタッカーを投入すると「DFの破綻を防ぐため」にわずか15分間で再び杉本を最終ラインへ戻して守りを固めた。厳しい戦いにも冷静さは失わなかった。
 そして、耐えて守ったチームに相手オウンゴールという幸運。「(オウンゴールでの決勝点は)すごくセレッソらしくてよかったんじゃないか。これまでは惜しいところで負けてきたので、歴史をみんなで変えようと言ってきた。決勝で(セレッソらしい)いいゲームができてよかった」と中谷監督。大会MVPの杉本は「セレッソの歴史を変えようと言ってきた。日本一になれることを証明できてよかった」

 闘争心をむき出しにして戦っていたDF小池佑平やU-17日本代表DF夛田凌輔ら全員が見せた気持ちの強さが何より印象的だった。指揮官は「記者の皆さんも気持ちが入っていないといい記事を書くことはできないと思います。サッカーも同じ。ボクは選手たちにサッカーを通じてパッション(情熱)を出しなさいと言ってきた」。PK戦12番目でようやく決着のついた準決勝・京都U-18(関西3)戦に続き、均衡した戦いを気持ちの強さで上回った選手たちの姿。劣勢にも強い気持ちを前面に出して戦ったイレブンに“熱い”中谷監督も目を細めていた。

 ついに手にした頂点。ただ、チームの向上心は止まらない。今大会はフィールドの11人を試合中に再三配置変更しながらシフトチェンジしてきたC大阪。バックアップメンバーの層がやや薄いことも否めない。クラブユース王者として臨む高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権(9月開幕)へ向けて、「しっかり鍛え直したい」という指揮官の下、チームは2冠達成へ向けて新たなスタートを切る。

(取材・文 吉田太郎)

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