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鹿島が3年ぶり“3連敗”。青木「ボクが鹿島に入ってから一番、悪いゲームだった」

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[9.26 J1第27節 鹿島1-4名古屋 カシマ]

 自慢の守備が完全に崩壊した。それどころか、王者の風格すらなくなっていた。鹿島アントラーズは今季リーグ戦最多の4失点を喫し、06年10月に4連敗して以来3年ぶりの“3連敗”。2位の清水が27日の神戸戦に勝利すると、ついに勝ち点差1に迫られるという苦境に立たされた。

 一時は2位に勝ち点10差を付けて首位を独走していたが、8月に入り失速。2勝5敗と最悪の状態に陥っている。1-3からの再開が決まっている川崎F戦(10月7日)に敗れれば“4連敗”という事態になる。

 川崎F戦を含め、4試合連続で前半のうちに失点を犯す“負けパターン”に陥った。開始5分に、マーキングのミスから失点すると、前半13分にはGK曽ケ端の空振りという信じられないミスも起こり、2失点目を喫した。以降は、鹿島自慢のパスワーク、老獪な守備も見られない。名古屋にボールを支配され、ボールを奪っても中盤がパスの出しどころに困るほど攻撃が停滞した。

 「ボクが鹿島に入ってから一番、悪いゲームだった。原因? 原因が分かれば、ああいうことは起きないわけで・・・。今は気持ちの整理がつかない」

 MF青木剛は呆然と立ち尽くし、がっくりと肩を落とした。DF伊野波雅彦に代えてベテランDF大岩剛を先発起用したが、プラスへの化学反応は起きなかった。この日の試合を終えて失点は計25。だが、1-3からの再開が決まっている川崎F戦(10月7日)の3失点は確定しており計28失点。事実上、リーグ最少失点チームの座も新潟に奪われた。

 大岩は「きついね。今季最悪の試合? そうだね。最初の1失点では、まだまだぜんぜんいけると、気持ちも前に向いてたんだけど・・・。そのあとミスも出てしまって」と悔しさをにじませた。

 なぜ、守備が崩壊したのか-。DF岩政大樹は「中2日で試合をした名古屋と、1週間のウチ。どれだけうちが走れていないか、みなさん、分かったのではないか。球際やセカンドボールを拾われている。ルーズボールが上がった瞬間、一歩目が遅い。コンディションなのか、気持ちの面なのか分からないが、あれだけ球際で勝てなかったから、現代サッカーでは勝てない。何度も同じ失敗を繰り返すのは、ぼくらの限界かもしれない」と、運動量の少なさを指摘した。

 疲労の影響とメンタル的な要素と両方が考えられるが、岩政は「個人的に残念だったのは、3失点目を喫したとき、試合を放棄したような選手がいたこと。こういうときこそ、チームを鼓舞して走る選手がいないといけない。球際にいかないし、走りもしない、ボールを要求しない。先頭に立って走ってくれる選手がいないと、勝てない。うしろから見てて、残念だった」と勝利への執着心の欠如を嘆いた。

 追われる者の、初の3連覇という偉業への重圧・・・。さまざまな要素が考えられる。ただ、まだ勝ち点差で上回り、首位に立っているのは事実。オリヴェイラ監督は「人間がやっている以上、毎回、完璧ではない。毎回、うまくいくわけではない。自信を回復させることに着手しないといけない」という。たしかに、今の鹿島に必要なのは「自信」。次戦は10月4日の新潟戦。幸いにも再びホーム戦だ。1週間、みっちりと調整し、王者の姿を取り戻したい。

<写真>鹿島MF青木
(取材・文 近藤安弘)

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