beacon

シュートミスも絶妙アシストに、興梠16戦ぶり弾で1ゴール1アシスト

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.24 J1第30節 鹿島3-0千葉 カシマ]

 前人未到の3連覇へ、攻守に弾みの付く価値ある1勝となった。7試合ぶりの白星で暫定首位に返り咲いた鹿島アントラーズ。5連敗中はいずれも許していた先制点がこの日は鹿島に転がった。

 「最近は先に点を取られることが多くて、どうしても苦しい戦いになった。今日はすぐ1点取れて、またすぐ2点目が取れて、いい試合運びだったと思う」。欲しかった先制点を奪ったFW興梠慎三はそう言って胸を張った。

 前半8分、DFボスナーからMF下村東美へのパスをMF小笠原満男がカット。そのままドリブルで持ち込んだ小笠原はシュートを打とうとしたが、足を滑らせて体勢を崩すと、左足で蹴ったボールが興梠への絶妙なスルーパスになった。「こん身のシュートミス」と小笠原が苦笑いしたパスを興梠が右足ダイレクトで流し込んだ。

 興梠にとっては7月5日の川崎F戦以来、リーグ戦12試合ぶり、公式戦では実に16試合ぶりとなるゴールだった。「12試合ぐらい取れてなくて、苦しい思いをずっとしてきた。ようやく取れてホッとしてます」と安どの表情を見せ、「12試合取れてない中で、使い続けてくれた監督に恩返しがしたかったし、みんなも“そろそろ取ろう”と力強い声をかけてくれていた。今日は狙いにいきました」と感謝していた。

 前半18分にもインターセプトからのカウンターで追加点を決めた。MF本山雅志のスルーパスを受けた興梠はドリブルで切れ込み、ゴール前に横パス。これをFWマルキーニョスが左足で押し込んだのだが、この興梠のパスも「僕のもシュートです」と実際はシュートミスだったという。

 相手のパスミスからチャンスをつくり、最後は自分たちのシュートミスが2得点に。運も味方に付けた鹿島に、ようやく勝利の女神が微笑んだ。

 後半32分には途中出場のFW田代有三がダメ押しゴール。待望の今季初ゴールに「ここ数試合、チャンスをもらって結果を出せてなかった。チャンスをもらったら点を取ることだけを考えていた」と笑顔を見せた田代は「僕にとっては大きな1点。でもこれだけで今年終わったらダメ。次もチャンスをもらったら結果を出したい」とすぐに気持ちを切り替えていた。

 明日25日の川崎Fの結果次第だが、現時点で暫定ながら首位に立った。「あと4試合勝たないと優勝できない。自分たちは勝ち点を落とせない」と田代は力を込める。元日本代表FW2人にゴールが生まれ、守備陣も8試合ぶりの無失点。まだまだ好調時のサッカーには遠かったが、この1勝で吹っ切れるか。残り4試合。蘇った王者がラストスパートに入る。

<写真>鹿島FW興梠
(取材・文 西山紘平)

TOP