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[高校MOM117]帝京GK内田裕久(3年)_脅威のセーブ力で名門V導く

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.28 全国高校選手権東京Aブロック決勝 帝京 0-0(PK4-2) 成立学園 西が丘]

 PK戦敗退の屈辱が守護神を勝負強くした。昨年度の全国高校選手権1回戦、帝京は6人目までもつれ込んだPK戦の末、優勝した広島皆実(広島)に4-5で敗退。2年生GKとしてゴールを守っていたGK内田裕久(現3年)は「昨年の3年生は常に100パーセントを出していた。でも自分たち(下級生)がそれについていけていなかった。(3年生を)勝たせてやりたかった」と振り返った。

 PK戦で勝利を引き寄せることができなかった内田は当時の敗戦について、特に責任を感じていた。だからこそPK戦では負けられない思いがあった。そして全国を懸けた大一番はPK戦へ突入。1-1で迎えたPK戦3人目、内田は「何が何でも止める!」の思いで右下へ飛んできたシュートに右手で触れるとボールはゴールポストを叩き、ゴールの外へ。試合中、至近距離からのシュートを立て続けにストップするなどゴールに立ちはだかってきた守護神の執念が運をも引き寄せた。
 そして4-2で勝利。内田は東海大菅生との準決勝に続くPKストップで「内田は昨年から経験しているし、PKは得意。うちがしっかり決めれば勝てる」と振り返った廣瀬龍監督の期待通りに、チームを全国へと導いた。

 この日は右足中指骨折のために先発を外れたMF稲垣祥主将(3年)に代わり、キャプテンマークを巻いていた。「頼むぞ」と送り出された内田は強い責任を感じながら気を引き締めてプレー。後半終了間際に自らのミスで失点の危機を迎える場面はあったが、何点防いだか分からないくらいの好守を連発した175cmの守護神の存在感は絶大だった。

 身体能力の高さと果敢な飛び出しを武器とする内田は全国での雪辱へ「(昨年のように)3年生がもっと引っ張ること。自分も含めて引っ張っていきたい」と誓う。昨年は行く手を阻まれたPK戦も今は帝京にとって大きな武器。その強さをもたらしている守護神が「今度こそ」チームを日本一へと導く。

(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009

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