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[高校MOM128]FC東京U-18FW重松健太郎(3年)_点取り屋が圧巻の3発

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.13 Jユースカップ2回戦 F東京U-18 4-1 三菱養和SCユース 深川G]

 FC東京U-18のU-18日本代表FW重松健太郎がトップチームの城福浩監督の前でハットトリックの大爆発だ。

 まずは1点ビハインドの前半43分、左サイドのMF梅内和磨からFW山口潤を経由したボールをファーサイドで受けると左足を一閃。同点ゴールを叩き込む。すると、後半5分には「(3発のうち)一番印象的だった」という鮮やかな勝ち越し弾。左サイドからのパスを受けるとDF2人に前を阻まれながらも、撃ち急がずに周囲を確認し、右サイドを駆け上がった味方選手に相手が気を取られたところを逃さずに右足を振りぬいた。

 「自分はFWなんで点を取ることが仕事。はじめからシュートを撃つつもりだった」と放った一撃は、三菱養和SCユースの名手・原田祐輔に反応する間も与えず左ポストを叩き、ゴールへ吸い込まれた。そして後半13分にはMF三田尚央が獲得したPKをゴール右隅へと決めてハットトリック達成。優勝候補同士の大一番で相手ゴールに3発を叩き込み、チームを勝利へと導いた。
 「リードされていたけどここで終わりたくなかった。点を取れる自信もあった。自分にとっても、チームにとっても良かった」と役割を果たしたエースは笑顔で勝利を振り返った。

 来季のトップチーム昇格が決まっている重松。城福監督が視察に訪れることは前日に聞いていた。「あんまり意識しないようにした」と話したが、いつも通りに結果を残したい気持ちはあった。それが試合開始直後に競り合いの際に右足首を削られて倒れこみ、ピッチの外へ。「終わったかな、と思った」と振り返ったが、幸い軽症でピッチへ戻ると、その後圧巻の3ゴールの活躍でアピールに成功した。

 昨年の日本クラブユース選手権得点王で、U-18日本代表にも選出されている実力者だが、今秋の全日本ユース選手権では「自分が」の気持ちがやや空回り。チームの攻撃も知らず知らずのうちに重松頼みとなり、相手に封じ込まれた。そして納得のできない準々決勝敗退。目標のタイトルを獲得することができなかった。
 だが、この日、重松は潤滑油的な役割を果たしながら結果も出した。「チームにはスピードのある選手もいる。(3得点は)みんながいいボールをくれた結果」と満足げ。個人で相手を破ろうとする責任感の強いプレーが魅力でもあるが、周囲との連係の幅が広がったこの日のプレーに、意識の変化と成長を感じさせた。

 今後も抜群の得点力も持つFWにマークが集中することは仕方のないところ。「FWなので常にゴールを狙う」姿勢を変えるつもりはないが、その中でもチームを優勝へ導くためにエースは「チームメイトとともに」最善を尽くす。

(取材・文 吉田太郎) 

特設:Jユースカップ2009

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