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[2010Jの新星たち_1]MF加藤大(三菱養和SCユース→新潟)

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連載:2010Jの新星たち_1

[12.13 Jユースカップ2回戦 F東京U-18 4-1 三菱養和SCユース 深川G]

 高校生活での“ラストダンス”は「点をとりにいく姿勢が足りなかった。崩しきれなかった」反省材料の多い試合となってしまった。アルビレックス新潟への加入が内定している三菱養和SCユースのU-18日本代表MF加藤大は強豪相手にも怯まず、華麗なプレーの連続で観衆をどよめかせた。ただ、プレッシャーの速いF東京U-18のディフェンスの前にパスが引っかかってしまうことも。1-4の敗戦に「もっとできた。満足できない」と悔しがった。

 逆転されても加藤がボールを持てば何かを期待させた。後半24分にはゴール前のこぼれ球に鋭く反応して強烈な左足ボレーを放ち、ボールに触れるや否や繰り出されるスルーパスにはF東京サポーターからも驚きの声が上がっていたほど。得点に絡むことはできなかったことは確かだが、それでもJリーグへ進む実力をJクラブユース相手にしっかりと見せ付けた。

 中学卒業時、当時無名だった加藤を来季千葉のヘッドコーチに転身することが決まっている斉藤和夫監督が自ら三菱養和入りを勧誘したという。三菱養和はJクラブユースのように全ての選手がトップチーム昇格を目指し競争するような環境ではない。ただ、Jクラブが注目していなかったがために選んだ進路の、ある種自由な環境が、斉藤監督が「彼に合っていたのだと思う」と話すように加藤を成長させた。抜群のテクニックと相手の隙を逃さない瞬時に察知する判断力を備えるMFは年代別の日本代表の常連となり、4月には飛び級でU-20代表候補合宿にも招集。そして9月には早々と新潟入りが発表された。
 
 Jクラブではない“街クラブ”の三菱養和SCユースを全日本ユース選手権4強などへ導いた技巧派は今後「新潟の加藤」としてさらなる成長を期す。「新潟のサポーターにはスルーパスとずっと走り続ける運動量を見てほしい」と語った加藤はJ1年目の目標としては「試合に出ること。まだミスが多いので減らすこと、そして(利き足と逆の)右足も鍛えないといけない」を掲げた。175cm、62kgと線が細いことは否めない。だが、将来のゲームメーカーとしての期待は大きい。新潟を「毎年優勝争いするチームにしたい」と意気込むMFが将来、新潟の観衆をその技で沸かせ、クラブを優勝争いの常連にする。

(取材・文 吉田太郎)

特設:Jユースカップ2009

※この連載は2010年にJクラブへ入団することが内定している選手たちを不定期に紹介していく予定です。

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