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[天皇杯]名古屋がPK戦の激闘を制し10年ぶり決勝進出

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[12.29 天皇杯準決勝 名古屋1-1(PK5-3)清水 エコパ]

 天皇杯は29日、準決勝を行い、エコパスタジアムでは名古屋グランパス清水エスパルスが対戦。清水は前半16分、FW岡崎慎司のゴールで先制したが、名古屋も後半11分、FW玉田圭司のPKで同点に追いつく。試合は1-1のまま延長戦でも決着が付かず、PK戦に突入。PK5-3で名古屋が競り勝ち、優勝した99年度大会以来、10年ぶりの元日決戦に駒を進めた。

 名古屋はMFマギヌンが出場停止で、右太もも裏痛のDF阿部翔平が負傷欠場。左サイドバックの代役にはDF三都主アレサンドロが入った。システムは4-3-3で、GK楢崎正剛、4バックは右から田中隼磨、吉田麻也、増川隆洋、三都主。中盤は吉村圭司をアンカーに、右前に中村直志、左前にブルザノビッチが入り、前線は右から小川佳純、ケネディ、玉田圭司と並んだ。
 清水は4-4-2で、GK山本海人、4バックは右から市川大祐、平岡康裕、児玉新、太田宏介と並んだ。中盤は本田拓也と枝村匠馬のダブルボランチ、右に藤本淳吾、左に兵働昭弘が入り、岡崎慎司と長沢駿が2トップを組んだ。

 ともに優勝して来季のACL出場権を獲得したい両チームの激突。前半3分、名古屋はケネディの落としたボールを吉村が強烈な右足ミドルでゴールを襲うと、その1分後に清水も藤本のパスを受けた岡崎が遠めから思い切りよく右足で狙う。いずれもわずかにゴールの枠を外れたが、勝利への意思を感じるシュートだった。

 試合が動いたのは前半16分。清水は本田の自陣からロングフィードに岡崎がDFラインの背後に抜ける。GK楢崎も飛び出してきたが、岡崎が一歩早く右足でボールをすくい上げると、これがきれいにGKの頭上を抜き、ゴールネットに吸い込まれた。

 先制点で勢いに乗る清水はその後もチャンスをつくる。前半25分には岡崎がドリブル突破を仕掛け、こぼれ球を兵働が拾ってシュート。同28分にも岡崎が強引な突破からチャンスをつくり、PA内の長沢にパスがつながったが、DFに厳しく寄せられ、シュートを打ち切れなかった。

 清水は最終ラインでのビルドアップで簡単なミスも目立ったが、ボールを失ってからの切り替えが早く、球際でもしっかり体を張って名古屋の速攻に粘り強く対応した。

 終盤は名古屋の時間帯となり、前半32分に田中の右クロスからケネディがDF2人に競り勝ってヘディングシュート。同38分にも玉田の右CKに吉田が頭で合わせたが、ともにゴールをわずかに外れ、得点を奪えなかった。

 1-0とリードして折り返した後半開始から清水は長沢に代えてFWヨンセンを投入したが、後半最初のチャンスをつかんだのは名古屋。後半3分、三都主の左クロスをファーサイドのケネディが滞空時間の長いヘッドで狙うが、惜しくもゴールポストに弾かれた。

 清水は後半6分、藤本のスルーパスに反応した岡崎が増川にファウルを受け、いったんは倒れたが、、すぐに起き上がりゴールに突進。ゴール前に折り返したラストパスはわずかに合わなかったが、同9分にもヨンセンの右クロスにダイビングヘッドで飛び込むなどゴールへの執念を感じさせた。

 めまぐるしく攻守の変わる試合は後半10分、PA内で児玉がファウルを犯してしまい、名古屋がPKを獲得。これを玉田がきっちり決め、試合を振り出しに戻した。

 互いにゴール前までは迫るが、両チームの守備陣が粘り強いディフェンスを見せ、試合は膠着状態に入る。名古屋は後半28分、中村に代えてFW杉本恵太を投入。小川が中盤に下がり、杉本が右FWに入った。

 清水は後半31分に岡崎、34分に兵働、35分にヨンセン、37分に枝村と立て続けにシュートを放つが、DFのブロックに阻まれるなどなかなか勝ち越し点を奪えない。結局、試合は90分で決着が付かず、延長戦にもつれ込んだ。

 清水は延長前半2分、兵働の右CKにヨンセンがヘディングで合わせるも、延長戦から出場のMF山口慶がゴールライン上でクリア。同12分にもヨンセンの落としから岡崎がシュートを打ったが、GK楢崎がスーパーセーブでゴールを死守する。岡崎は1分後にも決定機を迎えたが、シュートはGKの正面だった。

 延長後半には両チームにチャンスがあったが、互いの守備陣が気迫の守りでゴールを許さず、試合はPK戦に突入した。

 PK戦では後攻の清水は1人目の市川がクロスバーに当て、失敗。先攻の名古屋は5人全員が成功し、PK5-3で死闘を制した。

(取材・文 西山紘平)

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