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[高校MOM142]東北MF嶺岸佳介主将(3年)_2発も不満の主将に今野先輩からのプレゼント

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 東北 2-1 一条 等々力]

 ドリブルで相手を華麗にかわしてゴールを決めても、プロ顔負けの鋭いFKを沈めても、東北MF嶺岸佳介主将(3年)の顔色は晴れなかった。「今日は自分らしいプレーが全然できなくて、チームとしても、東北高校らしい運動量のあるサッカーが出せなかった。自分で勝手にゲームを壊して、最後に自分で決めてヒーローにしてしまった感じです」。

 試合後、嶺岸の口をついて出たのは、大舞台で2ゴールを決め、勝利に導いた選手とは思えない言葉だった。それには理由がある。小野弘信監督が「嶺岸は技術面だけでなく、気持ちの部分でもチームを引っ張ってきた」と評価する、強い責任感ゆえだった。そんな嶺岸が、試合後に唯一顔をほころばせる瞬間があった。

 東北高校OBの今野泰幸(FC東京)が、ロッカールームに顔を見せたときのこと。「今日はお前がMVPだ」。そう言って、日本代表のユニフォームをプレゼントされた。「やばいです。すばらしいものをもらいました」。感激の面持ちで話す嶺岸はその瞬間、責任感の強いキャプテンの顔から、普通の高校生の顔に戻っていた。

(取材・文 鈴木智之)

特設:高校サッカー選手権2009

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