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[高校選手権]青森山田、最北端Vへあと1勝

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[1.9 全国高校選手権準決勝 関大一2-2(PK2-3)青森山田 国立]

 PK戦の末に関大一(大阪)を振り切った試合後、青森山田・黒田剛監督は「雪のストレスをパワーに変えてくれた」と青森県勢初の決勝進出を成し遂げた選手たちを褒め称えた。
 
 降雪地である本州最北端の青森県。県庁所在地である青森市に位置する同校も雪は悩みの種だ。グラウンドは1月から4月まで雪に覆われるため、関東以南のチームがコンビネーションなどのチーム練習に励んでいる間、青森山田が屋外でできるのは雪上サッカーのみ。他の降雪地域のチームと同じ悩みを持つ。それでもチームづくりを進められない代わりに、氷結したピッチの上でボールを操ることで足腰を強化するなど、できることから徹底してきた。

 プリンスリーグ東北で7連覇を達成するなど東北地域では無敵の強さを見せるチームも、全国選手権での最高成績は00年度の4強。過去には5年連続で3回戦で敗れる苦しい時期もあった。だがU-17W杯日本代表MF柴崎岳(2年)やU-18日本代表候補MF椎名伸志主将(3年)ら擁する今年は、他の優勝候補が敗れる中、力強い戦いぶりで勝ちあがってきた。健闘しながら敗れるという過去の苦い思いを繰り返さずに歴史を塗り替える決勝進出。環境面で恵まれていなくても、「ある程度の環境があれば、あとは努力次第で変わってくる」(黒田監督)ことをチームは示した。

 青森県勢の決勝進出はこれが史上初。北海道勢は78年度の室蘭大谷の準優勝が最高のため、11日の決勝で青森山田が勝てば、秋田県の秋田商(57年度、66年度日本一)と岩手県の盛岡商(06年度日本一)の記録を更新する最北端王者の誕生となる。すでに05年の全国総体を制し、最北端王者の称号をひとつ持つ青森山田。全国選手権初の決勝も制し“2冠”を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009

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