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"ヤングなでしこ"が終盤苦戦も強豪デンマークをくだす

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[1/13 BICENNTENIAL WOMAN`S CUP 2010第1戦]
なでしこジャパン 1-0 デンマーク

 現地時間13日、なでしこジャパンがヨーロッパの強豪デンマークとのBICENNTENIAL WOMAN`S CUP 2010初戦を迎えた。世界ランクで見ると、日本の6位に対してデンマークは10位。しかしデンマークは強豪ひしめくヨーロッパで切磋琢磨している有力チームの一つ。力は互角以上だ。

 スターティングメンバーは若手中心。GKに福元美穂、DFは右から川村優理長船加奈須藤安紀子鮫島彩。右サイドに木龍七瀬、左サイドに宮間あや、ボランチには原菜摘子宇津木瑠美が、そして2トップには菅澤優衣香山口麻美というフレッシュな面々が顔を揃えた。

 キャプテンマークを巻く宮間が円陣で声をかける。まだまだ暑さが残る16時45分にキックオフの笛がなった。五分五分の立ち上がりから、徐々に日本がイニシアティブを掴んでいく。デンマーク陣営でのプレーが続いていた14分、ついに試合は動いた。原から絶妙なパスが出ると同時に山口がDFの裏へ飛び出した。ボールをコントロールするとあとはGKとの勝負。山口がGKの動きを見極めて放ったシュートはゴールネットに突き刺さった。日本の先制。ここで流れを呼び込んだ日本は追加点を奪いに、持ち前のパスワークでゲームを支配していく。

 ところが、後半に入ると状況は一変する。デンマークが行った修正がはまり、日本のお株を奪うかのようなキレのあるスピードでボールに絡み始めた。デンマークのフォーメーションは変幻自在。状況に応じてそのスタイルは変わる。日本も途中からシステムを4-1-4-1へ変更しながら対応していく。しかし、流れはデンマークへ渡ったまま時間は刻一刻と過ぎていく。そこに輪をかけて焦りからか単純なパスミスが目につくようになった日本は、体力だけが消耗されていくようだった。69分には立て続けに強烈なシュートを食らう。GK福元が凌いだものの、流れを断ち切ることができない。
 なんとか若手の力で勝利を掴みたいとプレスに走りまわる選手たちだったが、攻め込まれる展開に佐々木則夫監督は「失点して試合を終えるよりは、ここはおさえて終わりたい」と、近賀ゆかりを投入。残り3分。後半は最後まで決定機を作ることはできなかったが、デンマークの猛攻を凌ぎ、日本は前半に挙げた1点を守り切り、1-0で勝利をおさめた。終了後、緊張がほぐれた選手たちは安堵の表情を浮かべて健闘を称えあった。

 今回のチリ遠征は2部練習を敢行し、強化合宿とトーナメントを掛け合わせたような色合いになっている。元旦の全日本女子選手権決勝に進んだ2チームの選手たち――なでしこジャパンでも主力として活躍する選手たちも多い――は遅れての合流となっていたため、初戦までの期間はこの日のスターティングメンバーでトレーニングを重ねてきた。まだチーム作りは始まったばかり。まさに初戦で現在の若手選手が抱える課題が明確に現れた内容だった。と同時に厳しい展開の中勝ち切ったことで自信にもつながったはずだ。佐々木監督も「これで何をすべきか選手たちも実感したでしょう」と、今後のトレーニングの取り組みに意欲を見せた。おそらく合流したメンバーが登場するであろう次のチリ戦は一日あけて15日に行われる。

●佐々木則夫監督
「後半は厳しい戦いになりましたが、ああいう経験もした方がいいんです。全体的にミスの多い試合でした。これは単純なもの。なくしていかなくてはゲームは作っていけません。連日の2部練習を行っていることで、90分間フルでいいパフォーマンスができるコンディションではないことは重々承知しています。あえてそういうシチュエーションを作っている訳ですから、その状況で何を生み出すか、そこを見極めたいんです。課題がはっきりしたことと、結果が自信につながったこと、そういった試合でした」

●山口麻美
「ゴールは本当に決まってよかったです。個人的には最初から飛ばして行こうと決めていたんですけど、後半に(スタミナが)落ちちゃって・・・どこまで続けられるかが課題です。ボールを失うことが目立ったので、チームとしてもそこをケアしていけばみんなのスタミナの問題も大丈夫だと思います。今日の試合は若いチームでしたし、勝てたことで自信になった。今後も勝利にだわりながら、やっていきたいです」

●長船加奈
「試合が終わった瞬間は勝てたことがもう本当に嬉しかった。それ位、後半はきつかったですね。暑さは・・・暑かったですけど、眩しさとかは気にんらなかったのでよかったです。後半は疲れてきて、気をつけていたカバーリングも遅れがちでした。そんな時間帯だからこそカバーしあっていかなければいけないのに・・・ここの部分はまたみんなと話し合いながらケアしていきたいと思います」

<写真>決勝弾をあげた山口(左)を祝福する木龍

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