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なでしこ波状攻撃実らず。宮間、PK失敗でチリとドロー

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[1/15 BICENNTENIAL WOMAN`S CUP 2010第2戦]
なでしこジャパン 1-1 チリ

 現地時間15日、日本女子代表=なでしこジャパンがBICENNTENIAL WOMAN`S CUP 2010第2戦で地元チリと対戦し、1-1の引き分けに終わった。

 第2戦のスタメンは合流組を中心にしたメンバー構成。

澤穂希安藤梢といった主力選手の名前がそろった。そんな中で宮間あや原菜摘子は初戦に引き続いての先発、そしてGKには山根恵里奈、センターバックには熊谷紗希が抜擢された。2トップには所属する浦和でもコンビを組む安藤と北本綾子。ボランチには澤と原、右に大野忍、左に宮間、右サイドバックには近賀ゆかり、センターバックは岩清水梓、熊谷、左サイドバックに矢野喬子といった布陣だ。

 約4000人が集まったスタジアムは完全アウェイ。日本はスピードあるパスとコンビネーションを織り交ぜながら、一気にチリゴールを攻め立てる。大野のヘディングシュートから始まった日本の攻撃は、留まることを知らない。矢継ぎ早にシュートが繰り出されるが、チリ守備陣もそこは当然ケアすべき要点を叩き込んでいる様子で、確実に体を当てにくる。日本がさらに攻撃の勢いを増そうかとしていたまさにそのときだった。カウンターを食らい、ケアに入っていた熊谷が振り切られる。慌てて戻った岩清水が体を寄せるも一歩間に合わず、MARIA JOSE ROJASのシュートが長身GK山根の伸ばした左手をかすめるようにしてゴールに突き刺さった。日本にとってはまさかの失点は15分のことだった。

 再び流れを作りたい日本は、失点の悪夢を払拭するかのようにパスを回してゴールへの道筋を探すが、そのスペースはどんどんと狭くなっていく。それでも澤がスルーしたボールを安藤がシュートに運べば、宮間からの左CKに澤が頭で合わせるなど、ゴールを匂わせる場面は幾度となく作り上げる。前半ロスタイムには北本がゴール前に走り込むがわずかに及ばすGKにクリアされた。

 ゲーム展開とスコアに隔たりのある前半を終え、後半に突入。日本は前半と同じメンバーで後半のキックオフを迎えた。53分、大野がターンで相手をかわして前へパスを通すが受けた近賀についているDFに潰されてしまう。57分、佐々木則夫監督はついに布陣を大きく変えた。2トップに高瀬愛実山口麻美を入れ、安藤を右サイドへ、大野を左サイドへ移動、宮間は澤とボランチに入った。山口が1プレー目にいきなりシュートを放ってゴールへの意識の高さを見せると、その4分後には澤のミドルをGKがはじいたボールに高瀬が食らいつく。再び流れは日本へ。そして67分、右CKのチャンス。上がってきていた岩清水が頭で合わせて日本が同点に追いつく。その直後、山口が倒されてPKを得た日本。ブーイングの中、進み出たのは宮間だった。しかし、勝ち越しは確実かに思えた次の瞬間、宮間が繰り出したボールはGKの手の中におさまっていた。スタンドからは割れんばかりの歓声が飛ぶ。

 81分にはさらにサイドの攻撃に厚さを出そうと鮫島彩が送り出されるも、ゴールラインを割る展開には至らず、まさかのドローで第2戦を終えた日本。試合終了後、一様に曇りがちな表情の日本選手に対して、日本の波状攻撃を守り切り、安堵の表情を浮かべ健闘を称え合うのはチリの選手たち。対照的な表情にこの一戦のすべてが現れているような気がした。

佐々木則夫監督コメント
「フン詰まりの展開でした。相手の状況を見て判断をしないからカウンターでやられる。攻撃面では特にそうでした。シュートを打てても、崩しきれていないから決めきれない。パスも常に通常の間合いで狭いスペースを通すのではなく、ワイドに展開をして長い距離のパスでチェンジするなど変化が必要。こういう経験も必要だということです」

●岩清水
「失点の場面は不意打ちでした。カウンターには気をつけていたつもりだったんですが、日本が攻撃に出る時間帯だったので、自分も開いてしまっていました。得点に関しては、当たれば決まるという感じでした。なかなかゴールに結びついていなかったのでホッとしました。とにかく、今日は自分たちのパススピードが上がらなかった。南米の選手は今まで対戦してきた選手と比べてすべてのタイミングがなんていうか・・・独特なんです。多分、攻撃陣も同じように感じていると思います。早めの修正が必要でしたが、結局最後までそれができなかった。残りの試合はすべて南米のチームなので、それまでに修正していきたいと思います」

●原
「前の試合ではあまりうまくプレーができずに、ここからもう一度やるぞって時に交代だったので今日はリベンジだったんですが・・・。果たせませんでした。パスのずれや受け手も出し手もコミュニケーション不足だったように思います。普段なら取れるタイミングでも、今日はタイミングが合ってなかった。掴みきれないまま終わってしまった感じでした」

●高瀬
「今日は途中出場があるかもしれないと聞いていたので、心の準備はできているはずだったんですけど、すごく緊張してしまいました。遠征には途中からの合流でしたし、少ない時間のトレーニングの中で自分らしさを出せてなかったので、試合ではとにかく思い切りプレーをしようと心がけました。いい精度のクロスが上がってきていたので自分としては中でポイントになれればと思っていました。まだまだですが、これから先は長いのでしっかりとがんばっていきたいと思います」

<写真>ドローに無念の表情を見せる澤、山口らなでしこジャパン

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