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[高校新人戦]市船橋&八千代破った!名門連破の敬愛学園が初V王手:千葉

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[1.22 千葉県高校新人大会準決勝 八千代 0-1 敬愛学園 市原スポレクパーク]

 平成21年度千葉県高校新人サッカー大会準決勝が22日、市原市の市原スポレクパークで行われ、第1試合では第88回全国高校サッカー選手権に出場した八千代と初優勝を目指す敬愛学園が対戦。後半33分にMF佐藤拓真(2年)が決めた決勝ゴールにより1-0で勝った敬愛学園が、流通経済大柏と戦う決勝(23日)への進出を果たした。

 準々決勝で全国選手権優勝4回の名門・市立船橋をPK戦の末に下した敬愛学園が、今冬の選手権出場校の伝統校・八千代も沈め、初の「千葉県制覇」へ王手を懸けた。選手権、総体、関東大会の各予選を含めても2度目の県大会決勝進出(優勝は無し)。敬愛学園のDF杉山祐亮主将(2年)は名門を連破しての勝利に「大会が始まる前は、名門の名前だけで身構えてしまうようなところがあったけど、イチフナ(市立船橋)戦で『自分たちはいつも通りやればできる』と自信がついた。きょうも『やってやろう』と。うれしいです」と会心の勝利に笑顔を見せた。

 MF齋藤昂太(2年)を軸としたパス交換からサイドをとり、1年生MF佐川裕貴が右サイドから決定的なラストパスを送る八千代に対し、敬愛学園はトップ下のポジションに位置する佐藤を中心に、MF河上竜司(2年)、五十嵐将(1年)らが中央突破を図る。
 ともにショートパスを軸とする“地上戦”を得意とする両チームの攻防。序盤、相手の素早いパス回しに後手をとった八千代だが、齋藤とMF中谷幸葉(2年)のダブルボランチと最終ラインが徐々に対応しボールを絡め取ると、素早いパスワークからPAまでボールを運んでいく。前半はその後八千代ペースに。だが、今大会無失点の敬愛学園は、杉山主将と長身CB楠本秀真(2年)の両CBが最後の局面でパスを通させない。また守護神・天野秀之(2年)が決定的なシュートを跳ね返すなど、ゴールに鍵をかけた。

 苦しい時間帯を守った敬愛学園は前半38分、左サイドを駆け上がったMF竹内涼(2年)がワンツーでDFラインを破り、クロスバー直撃の左足シュート。そのこぼれ球に反応したMF中川瞬(1年)が右足でシュートを打ち込む。だが、八千代は1年生GK小林拓矢が驚異的な跳躍でこの決定的なシュートをストップ。後半14分、今度は八千代が決定機を得る。齋藤の右CKをファーサイドで折り返し、中央の佐川が頭で打ち抜く。シュートはGKの横を通過したが、敬愛学園CB楠本主将がゴールライン上でスーパークリア。緊迫した展開の試合は、互いの素晴らしい守備もあり、スコアが動かないまま終盤へ突入した。

 試合の流れを傾けたのは敬愛学園が後半11分に投入した1年生MF中島竜介。スピードと個人技を生かしたドリブルで左サイドから切れ込む中島の対応に八千代は苦しんだ。攻勢に転じた敬愛学園は、アタッキングエリアで仕掛ける回数の増加とともにワンツーなどで相手DFラインの背後を取り出した。

 そして33分、“スーパーゴール”が試合の決着をつける。敬愛学園は、佐藤の右クロスを逆サイドで受けた中島が自ら仕掛ける。相手DFに阻まれたボールは高々と宙を舞ったが、ゴール正面左寄りへポジションを移していた佐藤がその落ち際を右足ダイレクトで打ち抜くと、ボールはゴール右隅へと突き刺さった。

 「決めた瞬間、訳が分からなくなった」と振り返った佐藤の値千金の一撃。このリードを死守した敬愛学園が1-0で勝った。斉藤渉監督は「イチフナ(市船橋)などと同じようなスタイルのサッカーをやっても勝てない。勝つためにショートパスをつなぐサッカーを取り入れ、GKから入ったボールを何度ゴール前まで迫る形をつくれるか、そしてその中からシュートを何回できるかにこだわってやってきた。選手がよくやってくれた」。自分たちのスタイルを貫いて得た勝利を喜んだ。

 敗退した八千代の3位表彰後、ピッチへとなだれ込んで来た控え選手たちと喜びを爆発した敬愛学園イレブン。杉山主将は決勝へ向けて「全員で力を合わせて、最後笛が鳴るまで戦って、勝ちたい」。昨年からレギュラーの半数が残り、佐藤が「自分たちの代は(頂点へ)、と思っている」と力を込めるなど、覇権奪取へ意欲満々の敬愛学園があす、初Vでチームの歴史を変える。

<写真>後半33分、決勝ゴールを決めた佐藤(右から2人目)を担ぎ上げて喜ぶ敬愛学園イレブン
(取材・文 吉田太郎)

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