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【連載】2010Jリーグ新天地での挑戦(10)FW田代有三(山形)

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 王者・鹿島とはいえ、控えでいるよりも、やっぱりスタメンで試合に出たい-。モンテディオ山形に期限付き移籍で加入したFW田代有三。かつて日本代表にも選ばれたストライカーは、東北の地で“完全復活”を目指している。

 「目標は、去年ちょっと試合数が少なかったんで、今年はしっかり結果を出せば試合に出られると思うので、しっかりと結果を出して試合に全部出たいです」

 入団会見で決意を語った。イケメンストライカーともいわれ、さわやかなイメージの田代だが、ハートは誰よりも熱い。昨季はリーグ戦16試合出場2得点に終わった。うち先発は1試合のみ。時間も335分と激減した。高卒ルーキーの大迫勇也より下となる第4FWという扱いだった。プライドはずたずたになった。自信も失いかけていた。

 出場機会を求める中、山形からオファーが来た。ACLもある名門クラブで再びレギュラー取りに挑戦するか、ともすれば、J2落ちの危険性もある山形へ行くのか-。悩んだ末に移籍することを決意したが、あの“恩師”の存在が背中を押してくれた。

 小林伸二監督だった。会見では「すごい熱心で(03年に特別指定選手として在籍した)大分でも教えてもらいましたし、高校時代も何日か練習で教えてもらったことがあって、すごい勉強になった。そういうことも考えて、自分のレベルアップのためにと思って決めました」と思いを明かした。

 悩む日々に、頭に浮かんだのは高校・大学時代の自分だった。まだ粗削りだった自分を、名門・鹿島からオファーを受けるほどに成長するきっかけを作ってくれた小林監督。そんな恩師のもとで、初心に帰って出直そう-。田代は今、山形の飛躍、そして自身の飛躍を思い描いている。
 
 山形には同じく長身で、成長著しい長谷川悠がおり、今季は長身2トップが誕生する可能性が高い。クラブからも背番号10を与えられており、期待されている。10番は「キャラじゃないです」と照れ笑いを浮かべるが、期待に応えるつもりでいる。J1残留はもちろん、昨季以上の成績を残すべく、最前線でチームをけん引するつもりでいる。
 
 いざ、復活の時へ。昨年味わった悔しさをエネルギーに変え、持ち味のジャンプ力のように、もう一度、自身のサッカー人選を高く高く舞い上がらせるつもりだ。


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※この連載では10年シーズンに新天地へ移籍した注目選手をJ1の18チームから1人ずつピックアップしていきます(新人選手は除く)

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