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選手の個性をつぶす岡田采配、小笠原も"失格"?

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[2.11 東アジア選手権 日本3-0香港 国立]

 香港相手に3点を取って勝っても喜べない。試合後、2得点を挙げたFW玉田圭司はご機嫌だったが、それ以外の選手は一様に渋い表情だった。MF中村憲剛は「もっと決められたかなというのが正直なところ」と不満を隠さず、FW大久保嘉人も「勝ったことはよかったけど、しっくりは来ていない」と口ぶりは重かった。

 シュート数は22対1。被シュートは、直接FKによる1本しか許さなかった。しかし、前半は引いて守る相手を攻めあぐね、効果的な崩しがなかった。ボール支配率に対して決定機の数が少ない。岡田武史監督は「後半途中に遠藤を前に出してからリズムが出た」と自身の采配にご満悦だったが、そもそも選手の起用法には疑問ばかりが残る。

 2試合ぶりに先発したMF小笠原満男はまたしても2列目での起用だった。クラブではボランチを主戦場にしている昨季MVPは2日のベネズエラ戦に続き、窮屈そうにプレーしていた。ボランチに下がった後半は徐々に持ち味を発揮していたが、後半17分に交代。前述の岡田監督のコメントは裏返せば、“小笠原へのダメ出し”とも受け取れる。

 なぜスタートから小笠原をボランチで使わなかったのか。代わってボランチで先発したのはクラブでセンターバックを務めているDF今野泰幸。中盤での守備力は魅力だが、格下相手に持ち味を発揮する場面はわずか。試合前からボールを支配できるのは分かっていたはずで、香港戦で今野を起用する理由がどこにあったのか、まったく理解できない。

 結局、今野は前半だけで交代。「相手が引いていたので、横パスをつないだあとはサポートではなく、前に行けと言われていた。自分ももう少し前に行くべきだったけど、足元、足元でつなぐと、なかなか前に行けない。監督はそういうことをやってほしいということだったと思うけど…」。本人は「チーム全体のことを言える立場じゃない」と口が重かったが、自分の特徴とは違う役割を求められることに納得はできていないはず。しかし、小笠原同様、今野もまた“失格”のらく印を押された格好となった。

 岡田監督は「(ベネズエラ戦からの)3試合トータルでいろんな選手をテストできた。(14日の)韓国戦では今のベストメンバーで臨みたい」と語った。テストをするのはいい。しかし、選手の個性をつぶすようなテストで、一体何を見極めているのか。このままではあまりにも選手がかわいそうだ。

<写真>日本代表岡田監督
(取材・文 西山紘平)

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