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「岡チャン不合格」、限界露呈の指揮官はそれでも「負けてよかった」

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[2.14 東アジア選手権 日本1-3韓国 国立]

 ブーイングが鳴り止まなかった。試合終了直後も、表彰式でも、試合後のサポーターへの挨拶でも、スタンドからは耳をつんざくようなブーイングが選手たちに浴びせられた。

 「岡チャン不合格 決断セヨ サッカー協会」

 ゴール裏には衝撃的な横断幕も掲げられた。W杯初戦のカメルーン戦(6月14日)までちょうど4ヵ月。チームづくりも大詰めという段階で、岡田ジャパンは壊滅的な状況に追い込まれた。

 W杯4強を目指そうというチームが東アジアで3位に終わった。W杯に出場できない中国と引き分け、ともにW杯に出場する韓国には1-3の完敗。東アジア選手権で3位というのは史上最低の成績だ。

 大会前に「結果に対しては責任を持たなければならない」と語っていた岡田武史監督は試合後「これだけのサポーターが来てくれた中で勝てずに申し訳ない」と謝罪した一方で、「逆に負けてよかったと思っている。ここまで順調すぎるというか、いろんな緩みが出ていたと思う。これで危機感を持ってW杯の準備もできる」と居直った。

 芸のない攻撃は進歩を見せず、DF田中マルクス闘莉王が退場になると、センターバックの層の薄さも露呈した。緊急出場したDF岩政大樹は練習でDF今野泰幸としかコンビを組んでなく、主力4バックに加わってのプレーはぶっつけ本番だった。

 1月25日からの指宿合宿、そして東アジア選手権。約3週間という貴重な時間にさまざまなテストも可能だったはずが、選手層の底上げに一切取り組んでこなかったツケが出た。

 W杯で闘莉王やDF中澤佑二がケガをする可能性もあるし、この日のように退場になることもある。W杯までにまとまった時間を取れるのは、もう大会直前だけだ。今さらバックアップを強化する時間も余裕もない。これまでのチームづくりは正しかったのか。

 「何を言っても言い訳になると思うし、批判は甘んじて受けなければならない。ただ、足踏みするわけにはいかない。前に進まないといけない」。今大会は国内組のベストメンバーだった。どうすれば、このチームが前進できるというのだろう。「欧州組や、新しい選手が1、2人入れば、前に進むことはできる」と岡田監督は言う。結局は海外組頼み。自分自身の戦術や戦略でチームを立て直すことはできないのか。指揮官としての限界を自ら認めたようなものだ。

 「選手が付いてきてくれる限り、選手だけを投げ出すことはできない」。キッパリと辞任の意思を否定した岡田監督。東アジア3位という現実を前にしても、W杯ベスト4という目標は変わらない。「選手も目標に向かって頑張ってくれている。可能性がある限り、チャレンジする」。もはや、その言葉も空虚に響くだけだ。

<写真>日本代表岡田監督解任を要求するサポーターの横断幕
(取材・文 西山紘平)

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