beacon

混乱招いたサポートメンバーの選考、その要因は?

このエントリーをはてなブックマークに追加
 日本サッカー協会は17日、W杯南アフリカ大会に臨む日本代表のサポートメンバー4人を発表したが、その人選は難航を極めた。

 岡田武史監督は当初、「戦力としても計算できる若手選手」を現地に帯同させ、もしも大会前にケガ人が出た場合、バックアップ選手として即座に入れ替えが可能になることを想定していた。しかし、この日発表されたのはドルトムント移籍の決まっているMF香川真司(C大阪)、DF酒井高徳(新潟)、MF山村和也(流通経済大)、FW永井謙佑(福岡大)の4人。香川以外、“即戦力”とは言い難い顔ぶれになった。

 結局、岡田監督は、ケガ人が出てメンバーの入れ替えが必要になった場合、「予備登録の7人を優先する」と明言。予備登録にも入っている香川を除けば、サポートメンバーはあくまで紅白戦や控え組の練習試合での“人数合わせ”という色合いが濃くなった。

 試合に出場できる可能性が低いにもかかわらず、国内合宿から現地まで帯同し、約1ヵ月間拘束されることに当然、クラブからの反発もあった。本登録の23人から漏れたことでモチベーションを落としてしまう選手もいただろう。

 10日に本登録の23人、12日に予備登録の7人を発表し、さらにサポートメンバーを選考するという流れも混乱を招いた。予備登録がどういう存在で、サポートメンバーがどういう扱いになるのか。選手にもクラブにも、分かりづらかった。

 原博実技術委員長は「23人を先に発表するという現場からの要望があり、それ以外の選手のモチベーションに難しいところがあった。ナビスコ杯があったり、ACL組はオフに入ったりもする。コンディション、立場が違うということで、サポートメンバーの位置付けがはっきりしなかったのかなと思う」と認める。

 サポートメンバーの選考では、予備登録にも入っているDF槙野智章(広島)に対しても打診をしていたとされる。しかし、若手主体で臨んだ1月6日のイエメン戦にも出場した槙野は2月下旬にACLが開幕するなど十分なオフを取れないまま、今シーズンを戦ってきた。過密日程や疲労の蓄積を理由にサポートメンバー入りに難色を示していたようで、実際、この日発表されたリストにも名前はなかった。

 原技術委員長は「打診をして断られた選手はいるのか?」と聞かれ、「察してください。あるともないとも言えない」と言葉を濁したが、当初の想定通りにいかなかったことも示唆していた。

 FIFAの規定も、混乱を招いた要因ではある。6月1日までに提出する23人のリストは予備登録30人から選ばなければならないが、その後ケガ人が出た場合、初戦の24時間前までは予備登録選手以外からでも入れ替えが可能としている。これでは予備登録の意味がなくなってしまう。

 たとえケガ人が出ても、選手の入れ替えは「予備登録選手の中に限る」という規定であれば、サポートメンバーはあくまで帯同選手であり、戦力として計算できないことはだれの目にも明らかだったはずだ。

 そして、23人を発表してから予備登録、サポートメンバーを発表することに対するクラブ、選手の反発の強さを読み違え、事前にその位置付けをはっきりさせておかなかった岡田監督、原技術委員長にも問題があったのは間違いない。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
W杯南アフリカ大会ページ

TOP