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初先発デフォーV弾!イングランド生き残る!

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[6・23 10年W杯GL・C組 スロベニア 0-1 イングランド ネルソン・マンデラ・ベイ]

 58年大会以来、52年ぶりとなるファーストラウンド敗退の危機にあったV候補・イングランドが生き残った。10年W杯南アフリカ大会グループリーグC組最終戦のスロベニア対イングランド戦がポートエリザベスのネルソン・マンデラ・ベイで行われ、イングランドがFWジャーメイン・デフォーの決勝ゴールにより1-0で勝利。イングランドはグループ3位から2位へ浮上し、逆転での決勝トーナメント進出を決めた。イングランドは6月27日の決勝トーナメント1回戦でD組1位のチームと対戦する。

 第2戦まで1勝1分でグループ首位に立つスロベニアの先発は2-2で引き分けたアメリカ戦と同じメンバー。4-4-2システムのGKはサミール・ハンダノビッチで4バックは右からミソ・ブレツコマルコ・シュレルボスティアン・セサルボヤン・ヨキッチ。中盤はロベルト・コレンとアレクサンデル・ラドサブリェビッチがダブルボランチに入り、右がアメリカ戦先制ゴールのバルテル・ビルサで左がアンドラス・キルム。2トップはズラタン・リュビヤンキッチミリボイェ・ノバコビッチが先発した。

 一方、グループリーグ突破の最有力候補に挙げられながらここまで2分と期待外れの成績に終わっていたイングランドは、スコアレスドローに終わったアルジェリア戦から先発3人を変更。ファビオ・カペッロ監督はアメリカとの初戦で先発しながら31分で交代していたMFジェームズ・ミルナーを先発復帰させ、FWデフォーを今大会初めて先発起用するなど、勝ち点3獲得へ向けて手を打ってきた。4-4-2システムのGKはデイビッド・ジェームズで4バックはグレン・ジョンソンジョン・テリーマシュー・アップソンアシュリー・コール。中盤はフランク・ランパードギャレス・バリーがセンターに入り、右がミルナーで左がスティーブン・ジェラード。2トップはデフォーとウェイン・ルーニーがコンビを組んだ。

 選手の采配批判など、チーム内の不協和音が伝えられたイングランドは序盤からチャンスをつくるものの、「負けられない」という硬さからか微妙なミスや相手の好守により試合を動かすことができなかった。だが前半23分、カペッロ監督が先発に抜擢したミルナーとデフォーのコンビがイングランドに先制点をもたらす。右サイドのタッチライン際でボールを受けたミルナーがDFラインの背後へ絶妙なクロスを送ると、DFと競りながら飛び込んだデフォーが右足ダイレクトでゴール。大きなリードを奪う。

 続く27分のランパード、30分のジェラードが決定機を決められなかったイングランドに対し、スロベニアはビルサのミドルシュートがゴールを捉える場面こそあったものの、攻撃はシンプルなロングボールを多用。前線でボールが収まらず、攻撃に人数、力を加えることができない。

 完全に試合をコントロールしたイングランドは後半も攻め続ける。12分には右CKからテリーが決定的なヘディングシュート。そして直後にはスルーパスで抜け出したルーニーがGKとの1対1から右足を振りぬく。ただ、スロベニアはGKハンダノビッチがビッグセーブを連発。勝敗の行方を決定付ける2点目を許さない。

 そして守護神の好守に勇気を得たスロベニアに後半半ば頃から試合の流れが傾く。敵陣でバリーのミスパスを連続してカットするなど、疲れの見える相手にショートカウンターを浴びせた。そして23分にはノバコビッチ、FWズラトコ・デディッチ、ビルサがPA内から3連続シュート。スロベニアにとってこの試合最大のビッグチャンスだったが、イングランドはテリーらが身体を投げ出すかのような必死のディフェンス。隙は確かにあったイングランドだったが、最後のところで相手に仕事をさせない。

 同時刻に行われていたアメリカ対アルジェリア戦が引き分ければこの試合で敗れてもグループリーグ突破が決まるスロベニアは、もう1試合が思惑通りに進んでいたためか積極的な動きが見られない。結局、試合はエースのルーニーを途中交代させるなど目の前の勝負に徹したイングランドが1-0で勝利。決勝トーナメントへの進出を決めたイングランドがピッチ上で安どの表情を見せた一方、スロベニアの元に最悪のニュースが届く。ロスタイムV弾によりアルジェリアに1-0で勝ったアメリカが、勝ち点を5へ伸ばしたことで同4のスロベニアは敗退が決定。そろって決勝トーナメントへ進む可能性があった欧州勢2チームは、最後の最後で明暗が分かれた。

<写真>何とかGL突破を決めたイングランド。エースのルーニー(右)とカペッロ監督が勝利を喜びあう
(文 吉田太郎)

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