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ベスト16が「限界」なのか、日本に足りないものはなんだったのか

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[6.29 W杯決勝トーナメント1回戦 日本0-0(PK3-5)パラグアイ ロフタス・バースフェルド]

 プレトリアが涙に濡れた。PK戦による敗退という非情な結末。MF松井大輔、MF大久保嘉人、DF長友佑都…次々と泣き崩れる選手たち。PKを失敗し、涙の止まらないDF駒野友一を、目を真っ赤にしたDF中澤佑二が抱き寄せ、号泣する松井も肩を抱いた。すぐにこの結果を受け入れることはできなかった。

 「試合内容に悔いは残っていない。選手は本当に素晴らしく、素晴らしく、日本人の誇りを持って最後まで戦ってくれた。選手を勝たせてあげられなかった私の責任。私に執念、執着心が足りなかった」。試合後の記者会見で岡田武史監督はそう言葉を絞り出した。

 プラン通りの試合運びは見せていた。リスクを冒さず、相手のプレッシャーを受ければ、ロングボールを前線に放り込む。守備ブロックをしっかり形成し、相手の攻撃を跳ね返す。前半22分には松井のミドルシュートがクロスバーを直撃し、同40分にも本田が決定的なシュートを放った。

 チャンスはあった。しかし、決め切れずに前半を0-0で折り返した。無失点は狙い通りだったが、先制点を取りたかったのも本音だろう。カメルーン戦(1-0)もデンマーク戦(3-1)も、前半に先制点を奪うことができた。だからこそ、90分間、自分たちで試合をコントロールすることができた。

 この1点を奪えなかったことで、後半は徐々に歯車が狂い出した。パラグアイに押し込まれる時間が増え、最終ラインが下がり、セカンドボールも拾えなくなる。パラグアイの波状攻撃。後半5分には長友がスライディングタックルでピンチを防ぎ、同11分のシュートは中澤が足に当てた。守備陣は体を張り続けた。

 一方で、日本はいい形でシュートまで持ち込める回数が極端に減った。FW岡崎慎司、MF中村憲剛、FW玉田圭司。途中出場の選手は持ち味を見せていた。しかし、決定機は生まれない。延長前半7分のピンチにはGK川島永嗣がビッグセーブ。守備陣の奮闘になんとか応えたかった。しかし、延長前半9分、日本中の願いを込められたMF本田圭佑の直接FKもGKの好守に阻まれた。

 MF長谷部誠は「守備の部分では規律をしっかり持ってプレーすれば、世界でも簡単にやられることはないと感じた」と言う。組織的な守備。献身的なハードワーク。チームの団結力。日本の強みは存分に出し切った。しかし、勝ち切るには1点が必要だった。

 岡田監督は「サッカーにおいて点が取れなかった原因をひとつに絞るのは難しい。もともとそれほど得点力のあるチームではない。数少ないチャンスをものにしていくチーム。その点が入らなかった」と語った。

 「私にも好きなサッカー、理想のサッカーはある。しかし、代表監督として勝つことを考えている。勝つためには、自分の力と相手の力を考えて戦い方が出てくる」。ある意味で現実的で、守備的とも言えるサッカーが、現在の日本の力を正しく見極めたものだったのかは分からない。ただ、少なくとも現場で常にチームを指揮している岡田監督の判断は尊重しなければならない。実際にこの軌道修正でチームがいい方向に向かったのも確かだった。

 ならば、日本がベスト16の壁を打ち破るには、絶対的な「力不足」だったということになる。長谷部は「今日だけを見れば得点が課題だったかもしれないけど、試合を重ねるごとに攻撃もよくなってきていた手応えはあった。ただ、世界で戦うには、個人のレベルを上げないといけない」と言った。個々の能力。どんなに理想を捨て、策をめぐらせ、勝負に徹しようとも、届かない差。今回のベスト16という結果は、今の日本の「限界」として重く受け止める必要がある。

 4年後のブラジルW杯に向けた戦いは、もう今日から始まる。日本がもうひとつステップを上がるために何が必要で、どう取り組んでいけばいいのか。すべての選手、指導者、マスコミ、サポーターが考えていく必要がある。ヒントがあるとすれば、本田の言葉かもしれない。

 「内容はともかく勝ちにこだわって、そういうやり方でここまで来た。次は欲を出して、もっと攻めに行く姿勢を世界に見せる番じゃないかなと思っている」

(取材・文 西山紘平)

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