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[全国総体]末松劇的ロスタイム弾!西武台が09年準V米子北破り埼玉県勢15年ぶり4強へ

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[8.5 全国高校総体準々決勝 西武台 1-0 米子北 具志川多種目球技場Aコート]

 平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」は5日、準々決勝を行い、うるま市の具志川多種目球技場Aコートでは昨年準優勝の米子北(鳥取)と15年ぶりの4強進出を目指す西武台(埼玉1)が対戦。後半ロスタイムにMF末松光(3年)が決めた劇的な決勝ゴールにより、西武台が1-0で勝った。西武台はあす6日の準決勝で滝川二(兵庫)と対戦する。

 3回戦で優勝候補筆頭・流通経済大柏(千葉1)を撃破した米子北と、1月の全国高校選手権4強の矢板中央(栃木)に3-1で快勝した西武台。今大会強さを印象付けている両チームによる1点勝負を制したのは西武台だった。0-0で迎えた後半ロスタイム、西武台はカウンターからFW清水慎太郎がDFラインの背後へラストパス。反応した末松が、飛び出してきたGK助田龍太郎の足先でコントロールしてかわすと、そのまま決勝ゴールを流し込んだ。

 70分間で決着をつけるつもりだった。前日、同じ練習会場だった市立船橋がPK練習をしている傍らで、関係者から「PK練習しないの?」と聞かれた西武台イレブンは「その前に決着をつけるから」と応えていたという。その宣言通りの劇的勝利。ただ、本命・流経大柏を破り、“昨年越え”へ大きな壁を突破していた米子北はやはり強力だった。
 U-19日本代表候補CB昌子源(3年)から正確なボールを09年大会得点王のFW谷尾昂也に入れられ、キープ力の高い谷尾に個人でマークを外された。またMF川元徳馬をはじめとした中盤も少ないタッチ数で正確にゴール前までボールを運んでくる。前半には谷尾とMF薮田貴大のコンビに右サイドを破られて守護神・小澤章人もかわされる絶対絶命のピンチ。FW小笹晃の右足シュートはDFがゴールライン上で何とかかき出したが、失点の危機があった。
 
 特に前半は苦しい時間帯が長かったが、DFの柱であるCB町山阿記が「勝つというよりも『負けない』という気持ちだった。失点しなければ、負けないと。耐えていればいつかチャンスがくる」と振り返った通り、西武台は必死の守りでゴールを割らせない。そして時間が過ぎるにつれ、バイタルエリアでパスを引き出す清水にボールが入る回数が増えだし、クロスから相手ゴールを脅かしていった。今大会を代表するDFである米子北・昌子が「流経大柏戦は相手が焦ってくれていたけれど、きょうはこっちがダメでディフェンスをする時間が長くなってしまった。自分の声も適切ではなかった。いい声を出すことができなかった」と悔しがったように、西武台は徹底したファーストディフェンスなどの堅守で相手の思い通りの展開に持ち込ませなかった。

 そして試合終了間際に訪れたビッグチャンスをものにして1-0勝利。西武台の守屋保監督は「(準決勝へ進出したが)まだ満足した試合はないんです。本当は最後の20分間も守ってというよりも、3本、4本のパスと、ボールの動きがあるチームとなることを望んでいる。(ただ)簡単には点が取れないということを理解して、最後までみんなが『入れさせない』という気持ちでよく守ってくれた。勝因?よく守ったことです」。攻撃型のチームだけにやや守りに重きを置く戦いは本意ではない。それでも前評判の高かったチームを次々と撃破し、準優勝した95年以来、埼玉県勢としても15年ぶりとなる4強進出した実力は本物だ。低迷の続いていた埼玉勢復活も示すべく、西武台はどん欲に「あと2勝」を狙う。

(取材・文 吉田太郎)
写真協力『高校サッカー年鑑』
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