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闘莉王が“集まれ~対決”で勝利。今野の上から決勝ヘッド

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Text alert@味スタ
 3分のロスタイムも残りわずか。事実上のラストプレーですべてを決めてしまったのが田中マルクス闘莉王だった。

 左サイドで得たFKのチャンスで三都主アレサンドロ金崎夢生にグラウンダーのパス。金崎が「練習したことのない形」と語る意外性たっぷりのプレーが、FC東京の集中力をわずかにそいだ。金崎が左の深い位置に走りこむ三都主にパスを出し、三都主がファーサイドへクロスを上げると、そこに詰めたのは闘莉王だ。

 「あの時間帯に決まるとは不思議なくらい」

 闘莉王自身も驚く、劇的なゴール。しかも、闘莉王をマークしていたのは、自身の物まねネタ「集まれ~」で着ボイスまで配信された今野泰幸だった。今野の後方、頭の上から放ったシュートが、勝点1で御の字の試合を白星へと塗り替えたのだから痛快だ。

 「物まね?本物はこっちだからね(笑)。まあ、(今野とは)仲がいいから気にしていないよ。でもそれより、自分が結果を出すべきなのはオフザピッチではなくオンザピッチ。きょうは負け試合と言ってもいいくらいの内容だったけど、アレックスの日本一のクロスと、ナラさん(楢崎正剛)のお陰で勝った。僕も最後の最後に決められてよかった」

 笑顔で振り返る背番号4の言葉通り、内容ではまったく劣っていた。立ち上がりからFC東京の運動量に圧倒され、危険なシュートを何度も食らった。だが、耐えに耐えながら終盤を迎えると、イレブンの勝負魂に自然と火がついていた。

 「最近はみんなが最後まであきらめずにやっている。勝負強さというのは簡単に身に着くものではないけど、少しずつ、ついていると思う」

 闘莉王が身を持って示しているこの“勝負根性”こそ、名古屋が彼を欲した最大の要素だ。これで前半戦が終了。名古屋は鹿島を抜き、2位に浮上した。

 だが、闘莉王は言う。「今は上を見るより、下を突き放すべき時期」。長いシーズンをいかなるメンタルで過ごすことが頂点につながるのかを、背番号4は知っている。

<写真>闘莉王の決勝点に沸く名古屋イレブン
(取材・文 矢内由美子)

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