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服部インタビュー。ガイナーレをJ2に昇格させ「ヴェルディと対戦したい」

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 ジュビロ磐田で黄金期を築き、日本代表ではフランスW杯、日韓W杯のメンバーでもあった服部年宏が、JFLのガイナーレ鳥取で奮闘を続けている。今季、東京Vから加入した36歳のベテランはキャプテンも任され、悲願のJ2昇格へ向けて首位快走に貢献している。ドゥンガや中山雅史らとともに栄光の磐田を作り上げ、世界舞台も知る服部が、JFLへ-。8月某日、ガイナーレ鳥取の練習後、現在の心境や今後の目標について聞いた。
-今、JFL首位(8月10日現在順位表)を快走していますが、チームの状態はいかがですか?
「ちょっとずつ、成長してきているなと感じてますね。もちろん、まだまだ足りないところがありますけど、いいところが出てきています」
-J2昇格ラインとなる4位FC町田ゼルビアまで勝ち点差は16。今季残り11試合(8月10日現在)ですが、昇格に向けて順調ですね。
「でも、まだまだやることはたくさんありますね。J2に上がることが目標ではありますけど、上がるだけではダメだと思っています。そこで、しっかりと自分たちのサッカーがやれるように意識していかないと。正直、J2ではまだまだ戦えないと思ってるんで」
-今年は昨年までのような取りこぼしもなく、勝負弱さ(2年連続5位)も改善されているように感じます。要因はやはり、ボランチでチームをコントロールする服部選手にあるのかなと思いますが。
「いえ、監督が芯が通ってる方だからだと思いますよ。方針がブレることなく、落ち着いているんで。サッカーぽくなってきたからだと思います。誰が入ったからとかではなく、チーム全体としてやろうとしていることが、できるようになっていますね」
-とはいえ、監督は昨年途中から東京Vを率いていた松田岳夫監督です。その下でプレーしていた服部選手の役割は大きいはず。そういう意味で、心がけていることはありますか?
「そうですね、まあ、自分は特別うまいという選手ではないので、まずは自分のできることをピッチで表現して、そして選手に声をかけたりして、チームを締めるとこは締めるよう、心がけてますね。波のないチームにしないといけないので。試合はいいときばかりではないので、悪い流れになったときに、声や指示で立て直せるようにしたいと思っています」
-若手にアドバイスをしたり、経験を伝える役目もあると思います。
「言うことはいってますし、聞きにくればいくらでも言いますね。ただ、まだ言っていることをちゃんと解釈できない選手も多いんです。指示したり、アドバイスしたりしても、僕が言っている意味がよく分かってないのか、それがうまく反映されていないときもあるんですよ(苦笑)」
-経験値の差が大きすぎてしまうのかもしれないですね。キャプテンシーといえば、やはり、服部選手の場合、磐田で一緒にプレーした前ブラジル代表監督のドゥンガ氏の影響が大きいのかなと思います。今、役立っているのでは?
「あの人は、別物でしょう。役には立っていますが、マネはできませんね。僕なりのやり方でやっていければと思っています」
-W杯も経験した服部選手が、専用の練習場もない、JFLのクラブでプレーすることになったわけですが、戸惑いや苦労は?
「最初はびっくりしましたね。練習場は日々違うし、ロッカーもシャワーもないところがある。慣れるのは大変でしたけど、今までが恵まれていた。いろんなチームがあっていいと思うし、いい経験になってますね」
-寒い土地でもありますしね。
「最初はとにかく寒くて驚きましたね。雪の中で練習したりもしましたし。雪の中で練習するなんて、ほとんど経験したことがなかったですから。でも、景色はいいし、食事も美味しいし、海も近くてきれい。自然が素晴らしいので、子供を育てるには最高の環境ですね(笑)」
-JFLはいったん中断し、天皇杯を経て再開しますが、J2昇格へ山場はどの辺りだと考えますか? ガイナーレは例年、シーズン終盤に失速していますが……。
「再開後の3つ、4つくらいが大事かなと思っています。勝負は9月です(JFL日程)。そこで悪い流れを作らないようにしないといけない。首位とはいえ、まだ何も成し遂げていないわけで、受身に回らず、チャレンジャー精神で挑みたいですね」
-サポーターはJ2昇格を望んでいます。ご自身も再びJの舞台でと、強い思いがあるのでは?
「そうですね、みんなの期待がある中で、昇格は絶対にしないといけないと思っています。そのうえで、僕としては、Jで戦えるチーム作りというのやっていかないと思っています。それにやっぱり、来年はヴェルディとやりたいですね! 今まで所属したチーム全部と対戦するというのは、すごく楽しいので」
-今年で37歳。同世代の多くの選手が引退していますが、服部選手は“引き際”について、何かお考えがありますか?
「そういうのはないかな。自分がやれると思えば、やり続けるし、もうやれないと思ったら、きっぱり辞めますね。とにかく今は、日々しっかりトレーニングして、プレーするだけです。とにかく、今年でJ2に上げたいし、そのとき、J2で戦えるチームになっていたい。それが今の目標ですね」
服部年宏
1973年9月23日生まれ、36歳。静岡県出身。東海一高(静岡、現東海大翔洋)-東海大-磐田-東京V。178cm、73kg。1996年アトランタ五輪のほか、1998年フランス、2002年日韓と2大会連続でW杯に出場。日本代表通算44試合2得点。J1通算381試合19得点。J2通算73試合0得点
<写真>ミニゲームでボールを追う服部。鳥取・用瀬運動公園にて
(取材・文 近藤安弘)

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