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[戦評]昇格争い、最後の力になりそうな千葉の“武器”

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[8.14 J2第22節 千葉2-0熊本 フクアリ]

田村修一の「視点」

 スコアは2-0だったが内容には大差があった。千葉がポゼッションをとり、熊本はほぼ守るだけの展開。熊本は相手との力の差を認めた上での守備的な戦い方だったが、最後のところで守備ブロックの形を崩されることはなかった。1点目は微妙な判定のPKで2点目はクリアボールが味方に当たってのオウンゴール。熊本にとっては不運な敗戦であることは間違いなかったが、それでも千葉とは個人技術の部分と各選手の戦術的なディシプリンに大きな差があったと思う。

 千葉の選手は必要なときに必要な場所にいる。攻撃においても、守備においても動きのクオリティが高い。また谷澤や佐藤勇人と山口のダブルボランチはJ1レベルだし、J2では“ロベカルクラス”の左SBアレックス。そもそも千葉にはJ2の中では最高クラスの選手たちが揃っているが、J1を戦っていた昨年途中から指揮を執っている江尻監督が残留目的の短期的なチームづくり、トレーニングではなく、長期的にチームをつくってきたことがいい方向へ向いてきているのではないかと感じた。

 2-0とリードして試合終了を待つだけの時間帯でも、SBが飛び出してきていたし、サイドへ流れた相手FWへ対してCB2人がしっかり対応するなど集中力を欠如することなくやり切っていた。トレーニングから徹底しているのだろう。チームとしての規律、そして連係面での進化においてはJ2の他クラブ以上の武器になっている。

 J1にいってどのくらいやれるかは分からないが、このレベルでは悪くない。今後大きく崩れることはないだろうし、重要な試合でパニックになることもないのではないか。J2では現在3位でこれからJ1昇格へ向けて戦っていく訳だが、彼らの武器は終盤の勝敗を分ける最後の力になる可能性がある。

(取材 フットボールアナリスト田村修一)

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