beacon

ヤマナチオ? モンテチオ?山形はすべて「1-0」でJ1初の3連勝

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.17 J1第19節 横浜FM0-1山形 ニッパ球]

 カテナチオならぬ『ヤマナチオ』、もしくは『モンテチオ』か。モンテディオ山形が横浜FMに1-0で勝利し、J1昇格後初の3連勝をつかんだ。それも連勝中すべて『1-0』と、まるでイタリア代表のような試合運びを見せている。

 この日も横浜FMに中盤を支配されたが、粘り強く守ってワンチャンスを狙った。運動量豊富に走り回るという、ひたむきなプレーを実践した。そして0-0の後半7分、PA右やや遠めで得たFKのチャンスで、MF増田誓志のボールをゴールエリア左を抜け出したDF石井秀典が押し込んだ。

 石井は「向こうはゾーンで守っていたから、スピードというか、思い切って裏に入れればと思った。増田がいいボールをくれた。それに尽きます」と振り返り、増田は「決める人がいないと。ちゃんと決めてくれたから」と謙遜しあったが、計算尽くされたゴールだった。

 相手は日本代表DF中澤佑二ら長身選手が多いため、人に合わせるのではなく、位置取りをずらすように、スペースを突くボールを入れた。これが功を奏した。そして何より、山形のメインキッカーは、左利きの石川竜也。「石さんが蹴るき満々だった。そのまま蹴る感じに見せてもらって、自分が蹴るというのを話しました」と増田。してやったりのセットプレーだった。

 その後、山形は持ち味の堅守を発揮し1-0でしっかりと逃げ切った。運動量が勝った形だった。この試合、横浜FMは中2日、山形は中3日という“差”があったが、何よりW杯の中断中に行った山形・酒田キャンプで、陸上部のように走り込んだ成果が出ている。連勝中だけでなく、過密日程となっている最近5試合で見ても1失点と堅守を発揮している。

 石井は「みんなが一試合一試合、最後まで必死に走っている。3連勝しましたけど、1勝の重みを持って戦い抜いている」と言い、ベテランMF宮沢克行は「きついですけど、それに耐えられる練習をしてきた」と胸を張った。練習したとはいえ、この異常気象の中で走り勝つのは至難の技だ。日ごろの鍛錬に加え、イレブンが持つひたむきな気持ちがプラスに働いている。

 山形は昨季勝ち点39の15位とギリギリでJ1残留を果たしたが、今季は18試合ですでに「27」とした。チームは昨年の順位表で見ると一桁順位に入る「勝ち点50」(これは今年、小林監督が50歳になるからでもあるらしい)を目標にしているが、決して不可能な数字ではなくなってきている。

 苦しい夏場に稼いでいるのは大きい。小林伸二監督は「夏の日程が詰まった時期に連勝できているので、次のホームでの神戸戦もしっかりと勝ち点を伸ばしたい。昨年は降格のプレッシャーがかかってしまったので、今年は少し違うプレッシャーがかかる形をやっていこうと思っています。そういう一歩を踏み出して、今日はたくましくなったなと思います」と“孝行息子”たちを称えていた。

<写真>試合後、サポーターに挨拶する山形イレブン
(取材・文 近藤安弘)

TOP