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[天皇杯予選]東京都史上初!高校生チームの東京Vユースが天皇杯本戦進出!

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[8.28 第15回東京都サッカートーナメント決勝 東京Vユース 2-1 横河武蔵野FC 西が丘]

 天皇杯東京都代表チームを決定する東京都サッカートーナメントの決勝が28日、西が丘サッカー場で行われ、東京ヴェルディユースが延長戦の末、2-1でJFL・横河武蔵野FCを下し、天皇杯本戦出場権を手に入れた。高校生チームが東京都代表となるのは、史上初の快挙。東京Vユースは9月3日の天皇杯1回戦で総理大臣杯全日本大学トーナメント優勝の駒澤大と対戦する。

 東京Vユースは、U-19日本代表の一員として参加していたSBSカップ国際ユースサッカー(21日~24日、静岡)からMF小林祐希とDFキローラン木鈴が復帰し、また22日にトップチームの熊本戦でJ2デビューを果たし、ゴールまで挙げたFW南秀仁もこの日は本来の「東京Vユース」の選手として出場。準決勝・エリースFC東京戦(21日)では不在だったタレント全員が先発に名を連ねた。

 試合は立ち上がり、横河がサイド攻撃で押し込む。対応が遅れ、コート外へと大きくクリアすることで手一杯な状況になった東京Vユースは立て続けにセットプレーを与えてしまう。キローラン木鈴とDF高野光司を中心に、守備に徹する時間が増え、ここまでの予選3試合で見せたような、ボール回しから徐々に相手を崩していくサッカーを展開できず、自らのペースを作ることはできない。中盤からバイタルエリアに走りこんだ選手へとパスをつないでPA内へ仕掛けていく姿勢を見せるもなかなか前線へとパスはつながらず、時間だけが過ぎていった。

 すると、前半ロスタイムの47分、右SB大木暁の攻めあがった裏のスペースをカウンターで狙われると、横河MF都丸昌弘(前・明治大)が左サイドに大きく蹴りこんだボールで抜け出したFW冨岡大吾(前・日本体育大)に左足で決められ、先制されてしまった。

 しかし、東京Vユースの強さはここからだった。0-1で迎えた後半3分、右サイドで大木からボールを受けた小林が中央へとドリブル突破を仕掛けると、相手DF2枚を引き付けた瞬間に左サイドから走りこんできたMF南部健造へとラストパス。これを南部が右足でしっかりと押し込んだ。同点に追いついた東京Vユースはここまでの試合で見せてきたような、中央へとパスをつないでいくサッカーを展開。25分には小林の仕掛けから左MF杉本竜士が決定的なシュートを放つなど果敢に攻めていった。

 守備陣も何とか横河の攻撃を凌ぐ。20分には左クロスにつめられ、ゴールを揺らされるが判定はオフサイド。41分には右クロスをMF岡正道(前・湘南ユース)に頭で合わされたが、GKキローラン菜入が左手一本でなんとか弾いた。

 両者譲らず、1-1のまま突入した延長戦開始から東京Vユースは小林と南の2トップへ布陣を変更。2列目に杉本とMF山浦新を入れるとこの策が当たった。延長前半7分、左サイドの南からの浮き球のパスを中央で受けた山浦がPA内へと仕掛け、相手DF3枚を前に切り返しから左足を大きく振りぬく。このシュートがゴール左隅へと吸い込まれ、勝ち越し。その後、横河のパワープレーに押し込まれるも、残り時間をしっかりと守りきった東京Vユースが勝利。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、楠瀬直木監督が真っ先にピッチ上へと走り込み、選手たちと喜びを分かち合った。
 
 今回の勝利で天皇杯本戦の出場は決まったが、東京Vユースにとってはここからが正念場だ。天皇杯1回戦・駒澤大戦は9月3日の19時から西が丘で行われる。そして、翌日4日は13時20分から行われる高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権のセレッソ大阪U-18戦のため、4日朝に空路で札幌へと移動。さらに3日の駒澤大戦を勝利した場合は、5日の19時から天皇杯2回戦・FC東京戦を東京・味の素スタジアムで戦うことになる。まさに前代未聞の強行スケジュールといえるだろう。しかし、楠瀬監督はいずれの試合も「ベストでいきます」と明言した。

 まずは3日の駒大戦。相手は大学日本一チームとなるが、小林は「でも俺らもユース日本一(日本クラブユース選手権優勝)なので。90分間終わった後に勝ってるのは俺らだっていう自信はある」と頼もしい一言。ここまで明治大、慶應義塾大、エリースFC東京(社会人)、横河武蔵野FCと格上を次々に倒してきた。この快進撃を支えているのは、目先の勝利を目標にするのではなく、個人個人が「プロ入り」や「強豪大学サッカーチーム入り」などのユース卒業後の目標までも明確に持っていることにある。だからこそ、大学チームを一度倒しただけで満足せず、勝ち続けてきているのだろう。東京Vユースの快進撃はまだまだ止まりそうにない。

(取材・文 片岡涼)

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