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6戦ぶり勝利も小笠原は苦言。「常にいいものを求めていかないと」

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[9.1 ナビスコ杯準々決勝第1戦 鹿島2-1川崎F カシマ]

 さぞ、うれしいことだろうと思われた公式戦6試合ぶりの勝利。しかし、常勝鹿島アントラーズの闘将は不満顔で、口から出たのは苦言ばかりだった。

 「2戦目のことを考えたら、もう少しうまくやらないと。追加点を取らないといけなかった。勝ったのはいいけど、満足できない。常にいいものを求めていかないと。もっとできたという欲が常にある」

 小笠原満男はしかめっ面で頭をかきながら、試合を振り返った。試合は徐々に鹿島ペースとなった。前半31分に、エースのマルキーニョスが直接FKを決めて先制した。そして後半10分、FW興梠慎三が追加点を奪って、完全に試合の流れを握った。

 攻め込んだ。相手の攻勢を逆手にとって、チャンスを作った。しかし、3点目が取れない。後半23分には逆にサイドを完全に割られ、クロスから失点してしまった。小笠原は「課題? (攻撃と守備と)両方ですね。誰かを責めるとかではないけど、ゴールを取れるチャンスはあった。ミスも多いし、仕掛けられなかった。もっとゴールに向かっていかないといけない」と注文をつけた。

 「アウェーゴールルールがある以上、失点してはいけなかった。失点のところは、中に僕と新井場さんしかいなかった。失点をしてはいけない中、あってはなら陣形だった。あの流れでゴール前に人数が足りないなんて、ありえない。やってはいけないミスだった」

 日本代表DF岩政大樹も浮かない表情だった。DFとして、失点の場面の守り方が納得いかなかったという。ナビスコ杯は2戦合計で争うため、一つ勝っただけでは意味がない。1失点したことで、アウェーゴールルールが適用され、逆に川崎Fは次のホーム戦で1-0勝利でも突破できる。

 だからこそ、2人とも反省点ばかりを挙げた。チーム全体に、6試合ぶりの勝利の余韻は、微塵もなかった。これが常勝・鹿島のメンタリティーなのか。内容も結果も、追い求める。一つ勝ったくらいで、王者は満たされない。脈々と受け継がれる“美学”がそこにあった。

<写真>鹿島MF小笠原
(取材・文 近藤安弘)


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