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鹿島、また“等々力の壁”越えられず。小笠原の退場&岩政の負傷が響く

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[9.8 ナビスコ杯準々決勝第2戦 川崎F3-1鹿島 等々力]

 鹿島アントラーズは2年連続で川崎Fに“ミラクル逆転”を許してしまった。前半32分、川崎Fに先制を許したが、その1分後、主将の元日本代表MF小笠原満男が、左からのクロスに右足を合わせてシュート回転をかけて華麗な同点をゴールを決めてみせた。

 これで1-1、2戦合計では2-2とした。アウェーゴールルールにより、鹿島が4強入りできる状況となった。試合巧者の鹿島なら、逃げ切ることは決して難しくはない。しかし、1-1の後半30分、小笠原が中村憲剛を倒して2枚目の警告を受け、退場してしまった。攻守のキーマンが不在に。川崎Fのほとんどの選手が「小笠原選手がいなくなって、やりやすくなった」「こちらのペースになった」と振り返った通り、流れが一気に傾いた。

 その後、鹿島は守備を固めようと、小笠原の退場から1分後にMF船山裕二を、FW興梠慎三に代えて投入した。しかし、これがうまくはまらなかった。後半15分から出場していた中田浩二は、「船山が(中盤の)どこに入るのか、はっきりしなかった。そこはもう少ししっかりしたかった。割り切って守るのもいいんだけど、前にも(マルキーニョス)が残っていて、間の距離が空いた」と証言した。船山が悪いわけではない。普段とは違う形だったからだ。その後2失点し、万事休した。

 “誤算”があった。DF岩政大樹の欠場だ。この日、岩政は日本代表から合流し、ベンチ入りする予定だった。しかし、試合前のウォーミングアップで、右内転筋を痛めて欠場した。岩政は強行日程だったが、逃げ切るときの守備要因として待機するよう、オズワルド・オリヴェイラ監督に指示されていた。岩政は「僕が出るときというのは、そういうこと。力になれなかったことは責任を感じている」とうつむいた。

 また“等々力の壁”を超えられなかった。鹿島は2000年3月のリーグ戦で勝利して以来、これで公式戦9試合連続(1分け8敗、うち1敗は延長の末)で勝利がない。今回、そのジンクスを破るべく、また、昨年の準々決勝で川崎Fに逆転進出された悔しさを晴らそうと燃えていたが、昨年と同様、また等々力で返り討ちにされた。

 試合後、小笠原は無言でバスに乗り込んだ。鹿島は、今季の最重要目標にしていたACLを早々に終戦したため、リーグ4連覇を含む3冠(リーグ、ナビスコ、天皇杯)の獲得に切り替えていた。それだけに、小笠原はショックだった。

 オリベイラ監督も「当然ながらロッカールームでは賑やかであるとは言えないわけで……」と明かした。王者には例えどんなタイトルでも、負けることは受け入れられないが、この悔しさはリーグ4連覇にぶつけるしかない。

(取材・文 近藤安弘)


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