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仙台・関口が初招集。松井&本田&金崎の“牙城”に切り込む

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 仙台のスピードスターが大抜擢された。ベガルタ仙台のMF関口訓充が日本代表に初めて招集された(FW登録で招集)。仙台からは過去にFW山下芳輝がA代表に選出されているが、仙台に加入する前の福岡でも招集されており、“仙台育ち”としては初のA代表入りとなった。

 「日の丸を背負ってプレーすることが自分の夢でもあったので、日本代表メンバーに選出されてとても嬉しく思います」

 関口は帝京高出身で2004年に仙台に加入。年齢は今年25歳で、今回選出された伊野波雅彦や本田拓也のほか、平山相太、水本裕貴、水野晃樹、梶山陽平らと同い年。1つ下には本田圭佑や長友佑都、岡崎慎司らがおり、いわゆる“北京世代”だ。

 仙台では1年目からそのスピードと突破力が評価されて欠かせない選手となり、試合出場を重ねてきた。日本代表はこれまで北京五輪出場を目指すU-21の候補合宿だけと日の丸には縁がなかったが、J2で地道に努力してきた結果、ようやく花開いた。

 チームがJ2から昇格した初年度で、それも現在J1の13位のチームの選手ということを考えると異例の抜擢といえる。しかし、本人とってはようやく念願が叶った形だろう。南アフリカW杯に挑む岡田武史政権下では、スポーツ紙の報道で再三、代表候補にリストアップされた、と伝えられてきた。事実、昨年秋にはアジアサッカー連盟の公式サイト上で、アジアカップ2011予選登録メンバーリストが発表され、その73人の1人に入っていた。

 周囲の期待の中、いずれも“空振り”に終わっていたが、腐らずに努力を続けた。今季は主に右MFとしてリーグ戦22試合に出場し2得点を挙げている。初のJ1でチーム全体が苦労し、関口も守備に追われる場面も多いが、スピードと運動量、攻撃センスは光るものがあった。アルベルト・ザッケローニ監督は仙台の試合を直接視察していないが、アグレスティヘッドコーチが19日の山形戦を視察しており、その報告や映像を見て高く評価したと考えられる。

 ザック監督は3トップを採用する可能性があり、FW登録での招集となった関口は右FWとして期待される。そこには南アW杯メンバーの松井大輔本田圭佑、J1で首位を独走する名古屋のFW金崎夢生らがひしめく。

 その“牙城”を崩すのは簡単ではないが「自分をここまで育ててくださった手倉森監督やコーチ、スタッフ、チームメイト、フロントスタッフ、そして普段から応援していただいているベガルタ仙台サポーターの皆さまのためにも一生懸命頑張ってきます」という“叩き上げのアタッカー”が、プレースタイル通り持ち前のガッツで切り込む。

(取材・文 近藤安弘)

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