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A代表メンバー発表、ザッケローニ監督会見要旨

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 日本サッカー協会は30日、10月8日のアルゼンチン戦(埼玉)、同12日の韓国戦(ソウル)に向けた日本代表メンバーを発表した。
以下、ザッケローニ監督の会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「今度の試合が私のデビュー戦となる。これが私が初めて招集した代表の選手たちです。原さんが指揮した最後の2試合をベースにしようと考えた。この1ヵ月、時間の許す限り、できるだけ試合を見に行こうと考えていた。できるだけ日本の選手を知りたいというのがその目的だったが、1ヵ月という短い期間ですべての選手を知るのは難しかった。

 当然、時期によって、これからコンディションがよくなる選手もいれば、今はよくてもコンディションを落としていく選手もいると思う。しかし、招集の時期は決まっていたので、いろいろ考えた結果、前回招集された選手をベースにしようと考えた。今回招集されている選手のほとんどが前回も呼ばれているが、それに何人かを加えて招集メンバーを選んだ。

 第1戦はアルゼンチン戦、次は韓国戦。両チームとも素晴らしいチームだと認識している。だからと言って怖がるわけではない。アルゼンチンについては、ここで私が説明する必要もないと思う。アルゼンチンの招集リストも見たが、ほとんどの選手が欧州でプレーしており、それぞれを熟知している選手たちだ。世界屈指のチームと言えると思う。前回(9月7日の親善試合)はW杯優勝のスペインに(4-1で)大勝という結果も残している。

 韓国については今勉強中で、皆さんの方がご存じだと思う。アルゼンチンとはまったく違ったサッカーをしていると認識している。個人の能力が高い選手もいる。

 10日間ほどの合宿だが、この10日間の期間を最大限に有効に利用して、まず選手を知ること、選手同士のコミュニケーションを深めること、それから私のチームのベースとなるものを築いていきたい」

―4年後に向けてチーム内の新陳代謝についてどう考えているか?
「長い目でこのチームを育てていかないといけない。具体的には14年のブラジルW杯を見据えてチームをつくっていかないといけないと思っている。そのコンセプトから言って、世代交代は避けられない。ただ、やはり徐々に世代交代をやっていこうと考えている。当然、若い選手の成長には、ベテランと一緒にプレーする、ベテランと対峙することが必要になる。大切なのは一気に変えることではなく、徐々に変化を付けていくこと」

―どんなスタイルを持ったチームにしたい?
「攻守のバランスをテーマにやっていきたいと思っている。攻撃もできると同時に、守りもできるチームを目指していきたい」

―FW登録の人数が多いが?
「前回も呼ばれていて知っている選手もいるが、それ以外に見てみたい選手もいたので、これだけ呼んだ。FW陣には攻撃の能力を求めているが、守備の面でもチームに貢献してもらうことを考えている。守備でも要望に応えてくれる選手を選んだ。ただ、FWを(同時に)8人全員使うことはないと思う(笑)」

―伊野波、本田拓也、関口が初招集されたが?(実際は伊野波は07年のアジア杯に招集されている)
「この1ヵ月、私と私のテクニカルスタッフが見てきた中で、いいパフォーマンスをしていた選手を選んだ。先ほど話したコンセプトからズレずに、攻撃しながら守備もできる選手を選んだ。ユーティリティープレイヤーという言葉があるが、たくさんのポジションをカバーできる選手を選んだ」

―メッシやテベスがいるアルゼンチンの攻撃陣に対してどう守る?
「大変な試合になると予想している。相手を尊重しなくてはならないが、怖がってはいけない。向こうは個人の能力とチーム力で戦ってくると思うが、我々はチーム力で上回らないといけない。アルゼンチンだからと言って、ディフェンスだけ考えてこの試合に挑んでしまったら間違いだと思う」

―今までMF登録だった選手をFW登録にした理由は?
「これと言った理由はないが、ピッチでは選手の持っている特長を生かせるシステムでやりたいと思っている。守りより攻めの方が得意な選手ということでFW登録にした」

―2試合の選手起用については? ローテーションで入れ替える考えは?
「最大の目標は選手をよく知ること。選手の性格や能力、ポテンシャルを知ること。選手のコンディションもあるので、(起用法は)臨機応変に考える。最初に考えなければならないのはアルゼンチン戦。韓国戦のことはそのあと考えたい」

―チームに中心選手を置く考えは?
「絶対的なレギュラーは置かないように考えている。これまでの私の長いキャリアで、絶対的なレギュラーと考えた選手はいない。大切な選手がたくさんチームに出てくることは期待しているが、絶対的なレギュラーを置くことで、その選手も良くなくなってしまうと思う」

―アルゼンチンを倒す秘策、自信は?
「ノーですね(笑)。秘策はありません。選手の持っているクオリティーを最大限に出す術が私の持っている武器。10日間で完璧にはいかないかもしれないが、相手を尊重した上で、怖がらない集団をつくり上げていきたい」

―合宿で選手にこれだけは伝えたいということは?
「まったく同じ選手が存在しないのと同じように、まったく同じ監督も存在しない。欧州で培ってきた経験を伝えることで、選手がこれまでやってきたこと以上のクオリティーを出せるような環境に置くことが私の仕事だと思っている」

―遠藤、中村憲剛はコンディションに不安を抱えているが、彼らがダメだった場合は追加招集をするのか?
「招集する際、どれだけクラブチームに貢献し、試合に出ているかも考えている。2人ともクラブでプレーしているし、他の選手と同様、すばらしい選手ということで招集した。コンディションは心配していないが、合宿で話してみて、コンディションが悪くてできないということなら、追加招集も場合によってはあるかもしれない」

―服装や食事など選手に規律は設けるのか? 練習は非公開にするのか?
「チーム内のルールは設けようと考えている。ひとつの集団である以上、集団内のルールはなくてはならない。ただ、前回の合宿を見てきて、そんなにコントロールしなくても、選手は自分たちでルールを守る姿勢があったので、そんなに心配はしていない。練習はできるだけ非公開にしないようにとは考えている。当然、例外もあるし、非公開にするときもあると思うが、基本的にはできるだけ公開していこうと考えている」

(取材・文 西山紘平)

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