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まさかの連係ミス……。鹿島がロスタイムに痛恨失点し、湘南にドロー

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[10.16 J1第26節 湘南1-1鹿島 平塚]

 J1第26節は16日に各地で1日目が行われ、神奈川・平塚競技場では18位湘南ベルマーレと2位鹿島アントラーズが対戦した。前半9分に鹿島がFWマルキーニョスのゴールで先制したが、後半ロスタイム突入後の50分、DFのクリアミスから湘南FW阿部吉朗が同点弾を決めて1-1で終わった。鹿島はこれで3試合連続の引き分け。首位・名古屋を勝ち点9差で追いかけていた鹿島にとっては、最下位相手に痛恨のドローとなった。

 湘南は昨年から常用している4-3-3から4-4-2にシステムを変更して挑んだ。GKは都築龍太、DFラインは右から臼井幸平、村松大輔、山口貴弘、島村毅。ダブルボランチはハン・グギョンと坂本紘司、2列目は右に寺川能人、左にエメルソン、2トップは16試合ぶり先発となった新居辰基と阿部吉朗が組んだ。

 対する鹿島はDF伊野波雅彦とDF新井場徹が出場停止のため、大ベテランと若手が穴埋めした。システムは4-4-2でGKは曽ヶ端準、DFラインは右から、リーグ戦初出場となった當間建文、岩政大樹、大岩剛、ジウトン。ダブルボランチは中田浩二と小笠原満男、2列目は右に野沢拓也、左にフェリペ・ガブリエルが入った。2トップは興梠慎三とマルキーニョスが組んだ。

 序盤、ホームの湘南が激しく前からプレスをかけた。そして最初に決定機を作ったのは湘南。前半7分、左サイドでパス交換して攻め込み、最後は縦パスに寺川が抜け出した。DFラインの裏を取りフリーとなったが、左足のシュートはわずかに枠を外してしまった。

 王者相手にまずまずの立ち上がりを見せていた湘南だが、鹿島のエースがその目論見を崩した。前半9分、左サイドでジウトンがロングスローを入れる。これを湘南選手がヘディングでクリアしようとしたが、ファーサイドに流れてしまい、何とマルキーニョスのもとへ。しっかりと左ボレーを決めて先制に導いた。これで今季通算10得点と5年連続の二桁得点を達成した。

 さすがの勝負強さで先制したが、鹿島はこの日はなかなか勢いに乗れない。ボールはつなぐが、湘南にカウンターを受ける場面が多かった。湘南は前半25分、阿部が約23mのミドルシュート。不規則な回転がかかっていたが、GK曽ヶ端にセーブされた。同31分にはハン・グギョンが浮き球を約25mのミドルシュート。ややドライブがかかり、コースも良かったが、再びGK曽ヶ端の好セーブに阻まれた。

 さらに湘南にビッグチャンスが訪れた。左サイドをエメルソンがドリブルで仕掛けてDFラインの裏へ縦パス。これに新居が抜け出し、GK曽ヶ端と1対1になった。しかし、新居の左足シュートは飛び出してきた曽ヶ端の体に当たり、決めることができなかった。日本代表GKの意地が勝った形だった。

 鹿島はなかなか本来のリズムを取り戻せなかったが、後半43分にチャンスを作る。野沢が左サイドを仕掛けてクロス。これを中で鹿島の選手がヘディングで折り返し、マルキーニョスが右足ボレーシュート。しかし、ゴールの上に外してしまった。前半はそのまま鹿島の1-0で折り返した。

 後半開始3分、前半の勢いのまま湘南がチャンスを作る。左サイドから仕掛けて、最後は右サイドにスルーパスを出し、走り込んだ阿部が右足シュート。しかしこれはフリーという好機にもかかわらず、ゴール上に外してしまった。これを境に、鹿島がリズムを取り戻す。

 セカンドボールが拾えるようになり、押し込む時間が格段に増えた。そして後半12分、マルキーニョスがPA右を侵入しクロス。これは詰めていた興梠には合わなかったが、折り返しをフェリペ・ガブリエルがシュート。GK都築が不在のコースでゴールインかと思われたが、守備に戻っていた坂本がライン上でヘディングでクリア。得点にはならなかった。

 湘南は後半21分、流れを変えるべく一気に2人を交代させた。寺川に代えてMF馬場賢治、新居に代えてFW三平和司を送り出した。 これで少しリズムが良くなったが、鹿島がセットプレーでチャンスを作った。後半27分、野沢の右CKから中央で岩政がヘディングシュート。タイミングは合っていたが、GK都築の正面を突いた。

 その後、湘南が徐々にペースを取り戻し、立て続けにシュートを放つ。後半32分、ビッグチャンスが訪れた。自陣前の守備からカウンターがはまり中央の阿部へ。阿部は左を抜けたエメルソンにスルーパスした。PA左でフリーで受けたが、何とシュートを右に外した。枠に入れれば1点ものだったが、スタジアムにため息と歓喜が入り混じった。このミスショットから1分後、湘南はエメルソンに代えてFW中村祐也を送り出した。

 湘南の好機が続く。後半35分、カウンターで左サイドを崩し、馬場が中央へ横パス。これをハン・グギョンが左足でシュートを放つが、これ上に外してしまった。鹿島は流れを変えるべく選手交代を行う。後半35分、當間に代えてMF青木剛を投入。さらにその2分後には興梠に代えてFW佐々木竜太を投入した。青木は右SBに入った。

 試合はその後、鹿島がペースを握る。後半44分には野沢に代えてDF宮崎智彦を投入し右MFに入れた。終盤、鹿島は大岩が接触プレーで倒れてピッチを出たが、戻った直後に悪夢が起きた。

 後半50分、湘南がゴール前にロングボールを入れ、中央で島村がジウトンに競り勝つ。これがPA内左に弾み、青木と岩政大樹がそろってヘディングクリアに行き、接触してクリアミス。これが湘南の阿部吉朗にこぼれ、阿部はそのままスライディングしながら押し込んだ。土壇場で“奇跡”の同点に追いついた。試合は直後に終了。笑顔の湘南イレブンの横で、鹿島イレブンは悲痛の表情を浮かべていた。

(取材・文 近藤安弘)

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