beacon

鹿島、岩政&青木の連係ミスでロスタイム失点。岩政「僕はボールしか見てなかった」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.16 J1第26節 湘南1-1鹿島 平塚]

 いきなり“勝利の女神”がそっぽを向いた。不運に不運が重なった。ロスタイムも最後の最後だった後半50分、鹿島アントラーズがまさかのミスで失点してしまった。PA中央付近で相手のロングボールをジウトンが競り負け、ボールは鹿島にとってPA右に流れてきた。これにCB岩政大樹と右SB青木剛が味方同士で競り合いクリアミス。湘南FW阿部吉朗に拾われてゴールを決められた。

 「結果的にだけど、ファーストボールに(ジウトンではなく)僕が行けばよかった。剛さん(大岩)が入ってきて、頭の状態が良くわからなかった。あまり意識がない感じで……。ポジショニングでバタバタした? ずっと出ていた人間が管理しないといけなかった。ゴール前の連係といわれてもしかたない。僕はボールしか見てなかった……」

 岩政が悲痛の表情で振り返った。後半45分にCB大岩剛が競り合いで頭を強打してピッチの外に出た。その間、ジウトンが中に絞ってカバーしていたが、大岩はこの失点の直前に戻ってきた。ここでの大岩の状態や各自のポジションの見直しなどコミュニケーションが十分に取れていなかった。MF中田浩二も「剛さんがああなって、アバウトになっていた。ジウトンが競りに行ったり、ポジションがあいまいになった」と振り返った。

 この日はCB伊野波雅彦と右SB新井場徹が出場停止で不在だった。CBにはベテラン大岩、右SBにはこの日がリーグ戦初出場だった當間建文が入った。途中までは何とかしのいでいたが、後半35分に當間に代わって右SBは不慣れな青木剛が入った。なおかつ大岩の脳震盪……。不運が重なった。結果的にDFラインのレギュラー2選手が不在だったことが響いた。

 メンタル面の問題もあったようだ。岩政は「きょうの試合の姿勢が、前節の清水戦と同じだったのかなと、僕は感じた。清水戦のような試合が34試合続けられたら優勝できる。(同じ気持ちで試合が)出来ていないので、見つめ直さないといけない。僕も含めて一人一人が胸に手を当てて、もう一回、いろいろと反省しないといけない」と指摘した。

 岩政によると、前半9分に先制した後から「ほっとしたのか守りに入った。バックパスが増えた。あまり攻めるような姿勢を感じなかった。やるべきことがやれていなかった」という。中田は「1点取るまでは良かったけど、1点取ってから多少緩んだ。自滅だね。最終的にミスして……。2点目取れなかったのが問題。チャンスは何本かあった。ズルズル行くのが今年の問題」と課題を口にした。

 これで3試合連続のドローで勝ち点は46。首位・名古屋はあす17日に新潟と対戦するが、名古屋が勝ったら、残り8試合で今季最大の11差となる。岩政は「試合全体で、いい試合が出来ていない。サッカーの神様は良くわかっている。首位のチームをどうこう気にするのではなく、僕たちのチーム状態を気にしないといけない。僕らがいいサッカーをしないと話にならない」と吐き捨てた。

 中田は「きょうも落とせなかったけど、あと8試合、落とせない。数字上は可能性があるわけだから、あきらめずにやっていく」と力を込めた。3連覇の始まりとなった2007年は、首位浦和と10差ありながら、残り9節を9連勝して栄冠を勝ち取った。まだ、名古屋が新潟に勝つと決まったわけではない。鹿島はまだ11月7日に名古屋との直接対決を控えている。逆転Vでの4連覇へ-。まだ“光”は完全に消えていない。

<写真>鹿島DF岩政(3番)

(取材・文 近藤安弘)

TOP