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[選手権]全国王者・山梨学院、連覇へ圧巻の17発発進!:山梨

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[10.24 全国高校選手権山梨県大会2回戦 山梨学院 17-2 吉田 山梨学院G]
 
 王者が怒涛の17ゴールで走り出した。昨年度の全国高校選手権優勝校・山梨学院は24日、第89回全国高校サッカー選手権山梨県大会初戦となる2回戦で吉田と対戦。2年生FW白崎凌兵の5得点を筆頭にFW遠藤裕介、MF長谷川紫貴(ともに3年)もハットトリックを達成するなど17-2の圧勝で全国連覇へ向けてスタートを切った。

 試合開始わずか14秒、J関係者の熱視線の中で注目FW白崎が先制ゴール。この一撃が圧巻のゴールショーの幕開けだった。17分には右サイドからのラストパスを遠藤が右足ボレーを合わせて早くも2-0。ただ、関東大会山梨県予選で2勝を挙げている吉田は簡単に仕留められる相手ではなかった。21分には右FKのこぼれ球を1年生MF宮下聖也が左足ボレーでゴールへと突き刺し、吉田はあっさりと1点差に迫る。

 昨年、県大会5試合を1失点で優勝した山梨学院にとってはよもやの失点。無失点勝利への自信、こだわりがあったか、鼻を折られたチームは一瞬で雰囲気が重くなった。ただ、26分に長谷川がディフェンスラインの背後へ出したパスから飛び出したMF宮本龍主将(3年)がループシュートを決めるなど3分間で3ゴール。「攻撃面の連動に関してはかなり意識していた。点をとれたことはいいこと」と宮本主将も納得の表情で振り返っていたが、2トップ、サイドハーフ、ボランチ、SBと次々に相手守備陣のギャップを突き、DFの背後へ飛び出してくる山梨学院の怒涛の攻撃の前に吉田は完全に飲み込まれた。

 前半だけで8ゴールを奪った山梨学院はメンバー3人を入れ替えた後半にも9得点。結局、白崎、遠藤、長谷川、宮本主将、MF諸井孝太(3年)、FW林憲吾(3年)、DF関篤志(3年)の7選手が得点者に名を連ね、17ゴールをたたき出した。

 カウンターから吉田MF梶原薫(3年)のパスで裏を取られてFW小俣将吾(2年)に2点目を奪われるなど、ディフェンス面に関してはDFリーダーの関が「昨年は絶対に失点しないという気持ちが出ていた。3年生のそういう姿を見て自分も頑張った。今年もそれを目指しているけれど最近は失点が多い。課題です」と語ったように反省点があった。また、前橋育英と(群馬)の練習試合で5点を奪った後に桐蔭学園(神奈川)に5失点するなど、今年のチームには波がある。

 ただし、彼らが乗った時の攻撃はどこにも止められそうにない。スピード、突破力を備えたタレントたちがバリエーションに富んだ動きと球出しから相手DFの背後を次々と強襲。吉田は裏を突かれることが分かっていても、裏を取られて失点を重ねてしまっていた。スペインクラブへ練習参加中のエース加部未蘭(3年)を欠きながらも、テレビカメラ3台に新聞記者たちも集まる注目の初戦で圧倒的な迫力と破壊力を披露。吉永一明監督もこの日見せた攻撃に関しては「昨年よりも攻撃的にやりたいと思ってきた。きょうはやろうとしていることを表現できた時間が長かった。注目を浴びている中での試合でいい緊張感を持ってやれた」と満足げだった。

 MF碓井鉄平(現駒澤大)ら各選手の個性が強かった昨年。レフェリーの判定に納得できず、試合後にチーム全員で猛抗議をするようなこともあったチームが一丸となって勝利を目指した結果、選手権で大きなパワーになった。今年も選手権へ向けた雰囲気はいい。負傷の癒えた加部のコンディションが向上しているほか、2年生ながら10番を背負う白崎が凄みを増し、そして昨年、2年生レギュラーを担いながら怪我で選手権、そして今夏の全国総体も欠場した右SB栗原春介(3年)が復帰。左利きのSB諸井をボランチへコンバートするなど、優勝した市立船橋(千葉)の前に敗れた全国高校総体とは大きく姿を変えて選手権を迎えている。

 宮本主将は「自分たちの力を出せば負ける試合はない」。チームには自信も、全国連覇を狙えるだけのポテンシャルも十分にある。その自信、評価を結果で示すことができるか。大きなプレッシャーの中で今冬最大の注目校が船出した。

<写真>前半26分、山梨学院MF宮本主将がループシュートを決める
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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