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主将・那須が2ゴールを演出。「ジュビロが強くなる大きな一歩にしたい」

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[11.3 ナビスコ杯決勝 磐田5-3(延長)広島 国立]

 聖地が勝者に贈られる歓喜の大歓声で包まれる。夢に見た最高の瞬間が訪れた。ジュビロ磐田の主将、MF那須大亮は賜杯やメダル授与が行われたバルコニーで、高々と優勝カップを掲げた。前夜、ベッドの中で何度もイメージしていたという勝者だけに許される“パフォーマンス”。日本一の栄冠を体全体で感じ取った。

 「最高ですね。昨日の夜、カップを掲げるのをイメージしてた。みんなの力で勝ち取れたもの。本当にうれしいですね。ヘディングで1アシスト1起点? 練習していた形です。ゴールにつながってよかった」

 那須が高さで2点をもたらした。1-2の後半44分、CKに飛び込んでヘディングシュート。これはGK西川周作に弾かれたが、FW前田遼一が押し込んで土壇場の同点劇につなげた。2-2の延長前半12分には、再びCKのチャンスでニアに飛び込んでファーへ流し、MF菅沼実の勝ち越しゴールを導いた。守備面では3失点と満足できないが、主将らしく、苦しい時間帯にチームを支えた。

 2009年に東京Vから加入。今年から主将を任された。磐田の主将といえばチームの象徴だった中山雅史が長らく務めてきたが、退団をきっかけに那須が引き継いだ。“外様選手”が名門のリーダーに担ぎ出されるのは異例のことだが、那須はその大役を、横浜FM時代につかんだ新人王や2度のリーグ制覇の経験を元に、自分なりにこなした。一番、取り組んだのが“議論できる環境づくり”だった。

 「移籍してきて思ったのは、いい選手はいるんだけど、もっと要求したりとか、話をしたりとか、ぶつかり合っていくとかがなかった。物足りなかった。(チームは)そうやって成長していく。いろいろと話し合っていくのが大事。そういうのが必要だと思った」

 横浜FM時代は先輩に引っ張っていってもらうタイプだったが、自分から積極的にコミュニケーションを取り、意見交換を図った。そういう中で「積み重なって成長できたところがある。あきらめない姿勢とかもついた。試合中、選手が話し合ってやって、成長できている」と手ごたえを感じた。それがこの日、ひとつの結実を迎えた。

 「ナビスコ杯のタイトルをジュビロが強くなる、強くしたいう中で大きな一歩にしたい。結果を出して、もっともっと上昇チームにしていきた」

 ナビスコ杯は12年ぶり、タイトル自体も2003年の天皇杯以来7年ぶりだ。名門復活への道のりはまだ始まったばかりだか、その扉を開けるのに、間違いなく那須の尽力があった。

[写真]磐田MF那須

(取材・文 近藤安弘)

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