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鹿島は前人未到V4逃す。エース不在で決定力不足に泣く

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[11.20 J1第31節 神戸0-0鹿島 ホームズ]

 敵地のピッチ上で茫然と立ち尽くした。スタンドには涙を流すサポーターの姿もあった。鹿島アントラーズが史上初の4連覇を逃した。首位・名古屋と勝ち点差8で迎えた今節。優勝を“延期”させるためには神戸に勝つしかない状況だったが、痛恨のスコアレスドロー。決定力不足に泣いてしまった。

 “大一番”にエースFWマルキーニョスが欠場。出場停止が明けたFW興梠慎三の1トップで挑んだ。ボールはつなげるが、バイタルエリアでは、J1残留のためにあとがない神戸の激しい守備に手を焼く。そして鋭いショートカウンターに苦しんだ。相手も決定力を欠いたため前半を0-0で折り返した。

 後半開始直後、鹿島は決定機を迎えた。同1分、左MFで先発した遠藤康が中央で仕掛けてスルーパス。これに興梠慎三が抜け出しGKと1対1になった。右足を振り抜きゴール右を狙ったが、わずかに枠を外してしまった。

 鹿島は前線で何とかボールを収めようと、後半20分に遠藤に代えてFW大迫勇也を投入。興梠との2トップに変更した。しかし、決定機が作れない。同37分にはMFフェリペ・ガブリエルに代えてFW佐々木竜太を投入。試合の流れをつかもうと交代策に賭けた。

 それでもゴールが遠かった。神戸に捨て身の守備網を突破できない。後半42分にはPA右から大迫が仕掛けて右足を振り抜くが、サイドネットに当ててしまった。同46分には大迫がPA左から中央のMF野沢拓也にパス。野沢は狭いエリアながらシュートまでいくが、守備陣にブロックされた。直後、野沢に代えてスーパーサブのMF本山雅志を送り込んで1点を狙うが、時間が短すぎて結果にはつながらなかった。

 今季、鹿島はチャンスを作りながらゴールを決めきれないという試合が多かった。昨年までの勝負強さがなかった。オズワルド・オリヴェイラ監督もテレビインタビューで「シーズン中の試合でも、主導権を握りながら(ゴールを)決められないというのが何度もあった。残念です。これが今年のチームを象徴している」と嘆いた。

 主力だったDF内田篤人、DFイ・ジョンスの移籍のほか、攻撃がエース頼みから脱却できていないことも要因といえる。FWマルキーニョスが不在のリーグ戦は今季7試合あったが、その時の成績は1勝5分け1敗と苦戦している。興梠や大迫ら若手ストライカーの奮起、エース不在時の攻撃オプションが足りなかった。

 4連覇は逃したが、まだACL出場権の確保という仕事が残されている。この日勝ち点を1伸ばして56とし2位をキープした。だが3位G大阪も同勝ち点で、何とか得失点差で上回っている状況だ。その下には同52の川崎Fなどが迫ってきている。残り3試合。気を抜かずに戦い続ける。

(文 近藤安弘)

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