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[アジア大会]逸材DF山村、主将としてボランチとして実のある大会に

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[11・25 第16回アジア競技大会決勝 日本 1-0 UAE 中国・広州]

 主将としてU-1日本代表をアジアナンバー1へと導いたMF山村和也(流通経済大)。大学3年生ながらJクラブが争奪戦を繰り広げている「10年に1人の逸材」は前評判通りのプレーで役割を果たした。

 ただ彼にとっては決して楽な大会ではなかった。「一番重要な所で細かいミスが出て、相手にボールを奪われてしまうことが多かったので、その点を改善していきたいです。自分のチームでDFをやっていて、代表でボランチに入った時はすぐにはそのフィーリングにならないんです。前だけじゃなくて360度見なくちゃいけないのがMFですから。7試合やって今はその感覚になってますけれど、大会の最初はそうはいかなかったです」。

 山村が所属する流通経済大で務める本来のポジションはCB。チームがどうしても得点を取りにいく際には中盤を担うこともあるが、1試合通してボランチを務めることはほとんどない。それでも、代表でのポジションは中盤中央。見なければいけない世界も求められるプレーも異なっていた。

 若手中心のメンバーで臨んだ1月のアジア杯予選イエメン戦でA代表デビュー。CBとしてではなく、ボランチとして先発したことについて山村は驚きを隠さなかった。「(大学3年になって)センターバックとしてのディフェンス面ではある程度できるようになったと思います。でも代表に選ばれるレベルではない。それもボランチだったので」。
 今春にはそう語っていたが、U-21日本代表の本格始動でも大型DFは再びボランチを務めることとなった。それでも潜在能力高い「逸材」は、アジア大会前の練習試合ではJリーガーたちを相手に格の違うプレーを披露。スピード、強さ、判断力全てで余裕あるプレーを見せて存在感を放った。

 そして今大会でも中盤の柱として君臨。確かにミスはあったが、それでもダブルボランチを組んだMF山口螢(C大阪)とのコンビも「僕が前に行くときにバランスを取ってくれるし、二人のショートパスもスムーズになってきて、ここ3試合はすごくやり易かったです。逆にホタルが前に行きたい所もわかるようになって、その部分では僕が下がってバランス取れていたと思います」と振り返ったように、良好で不安を感じさせなかった。「ボランチの山村」としてアジアタイトル獲得に貢献した。

 主将として約1ヵ月過ごしたU-21代表。「このチームは仲がいい、まとまりがある、けれど集中するときはきっちりできる。大会を通じてその辺がどんどん良くなってきました。優勝メダルをもらった時は慣れていないので妙な感じでしたが、正直、とても嬉しいです」。ボランチと主将、2つの慣れない役割をやりきった20歳の逸材は、大会を通してまた一回り大きく成長した。

(協力=FAR EAST PRESS、文=吉田太郎)
第16回アジア競技大会特設

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