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退団する柳沢に京都サポが大エール。「必死にもがいて頑張ります」

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[12.4 J1第34節 京都2-0F東京 西京極]

 最後の最後まで“愛さる男”だった。京都サンガF.C.から来季の戦力外通告を受けている元日本代表FW柳沢敦。試合後の最終戦セレモニーでは、延々とヤナギサワコールが続いた。誰もが“英雄”との別れを惜しむように暖かい声援を送っていた。

 「自分なりに精一杯やることはできたかな。最後に勝てた? こういう結果をいつも求めてやってきたんですけど、なかなかうまくいかなくて、勝負の世界は厳しいなと改めて感じた。ただ、自分たちがやってきたことは決して間違いではなかったと思ってます。ほんとに悔しい1年でしたし、これから先、忘れてはいけない1年だったと思う」

 鹿島から事実上の戦力外通告を受けて2008年に加入した。エースとして期待され、1年目はリーグ戦14得点と大車輪の活躍を見せた。しかし、2009年は4得点、今季は3得点に終わった。すでにJ2降格に伴い、若返りと経営規模縮小を目指すチームからは、戦力外通告を受けた。現在、新天地を模索している。

 「J2降格という状況でチームを去るのは心苦しいですけど、これもプロの世界。本当に3年間熱い応援を送ってくれたサポーターには感謝の気持ちでいっぱいです。グラウンドを去りたくないぐらいの気持ちにさせてくれたことに感謝したいです」

 柳沢はサポーターへの感謝を口にし、改めて現役続行に意欲を示した。今季J1通算100得点を達成と、偉大な記録を達成させた。まだ33歳。衰える年齢ではない。ある京都の選手は「点が取れなかったのはヤナギさんのせいではない。周りが生かせなかっただけ」と話す。この日はゴールはなかったが、先発して最前線でチームを引っ張った。まだまだ、得意とする動きだしの質やスピード、周りを生かすポストプレーは健在だ。

 「しっかりと前を向いて、止まらないようにやっていきたい。自分は今までと変わらずにサッカーに取り組んでいきますし、これからも元気な姿を何年も見せられるように、必死にもがいて頑張ります」と柳沢。エースの看板を下ろすのはまだ早すぎる。これからもファンは、柳沢のプレー、ゴールを待ち望んでいる。

(取材・文 近藤安弘)

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