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[Jユースカップ]「目標はファイナリスト」“街クラブ”三菱養和SCが再びJクラブ撃破!

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[12.5 Jユースカップ1回戦 千葉U-18 2-3 三菱養和SCユース 西が丘]

 5日、Jユースカップ2010 第18回Jリーグユース選手権大会決勝トーナメント1回戦が行われ、三菱養和SCユースがジェフユナイテッド千葉U-18に3-2で勝利。東京ヴェルディユースと対戦する2回戦(12日)へ駒を進めた。

 Jリーグの下部組織ではない“街クラブの雄”が再びJユース勢を撃破した。三菱養和は9月~10月に開催された全日本ユース(U-18)選手権で名古屋グランパスU18、アビスパ福岡U-18、ヴィッセル神戸U-18、清水エスパルスユースに勝ち、4強進出。清水戦では8分間で4得点をたたき出すなどその爆発力で台風の目となった。
 ただし同大会準決勝では負傷を抱えるエースMF田中輝希(11年名古屋加入内定)を強行先発させるもFC東京U-18に1-3で敗戦。生方修司監督は「F東京は速さ、強さだったり、貪欲さだったりがウチより上。(準決勝の壁を乗り越えるためには)それを上回るゲームコントロールが必要。(Jユースカップへ向けて)やることは走ること、1日1日練習すること。練習を毎日やるしかない」と口にしていたが、チームは普段の練習から可能な限り厳しいプレッシャーの中でトレーニングを積んでレベルアップしてきた。
 この試合は主力数人を大学受験などで欠き、先発の半数以上を1、2年生が占める布陣。それでも初戦3日前の今月2日に敢えてこの年代のチームでどこよりも厳しいプレッシャーをかけてくるF東京と練習試合を行うなど、今大会にかけてきた成果を試合巧者である千葉戦で披露した。

 指揮官が「(F東京との練習試合は)激しい中でできた。いい調整になった」と振り返ったように万全の準備を施してきたチームは、試合の入りがよく、立ち上がりから積極的に前へ出て千葉の攻撃時のパワーを削ぎとる。そして自陣からのポゼッションと縦へのロングボールとを組み合わせてテンポよく攻めると21分、右サイドからMF川上亮祐が繰り出したドリブルシュートのこぼれ球をFW若狭夢信が右足で押し込み先制した。さらに2分後にはGK永井堅梧のフィードを若狭が頭でそらすと、DFラインの背後へ飛び出したFW近藤貴司が右足でゴールへと沈めて2-0。連続ゴールで完全に主導権を握る。

 千葉は37分、大黒柱のMF板倉直紀主将の縦パスからFW仁平貴大が抜け出し、最後は中学生FW和田凌が右足で追撃ゴール。それでも三菱養和は44分、SB横山恭嗣郎の右クロスを若狭が再び右足で押し込み3-1で前半を終えた。ただ、主将の田中が「(負けるという)不安がなかった。3-1で折り返したことで油断が出てしまって押し込まれてしまった」と振り返ったように後半は形勢が逆転。あとのない千葉は闘争心を前面に出して戦う板倉主将を先頭に襲い掛かってきた。

 右の吉永哲也、左の大塚裕貴の両SBが再三敵陣コーナー近くまで侵入。DFの背後、そして両サイドからの波状攻撃に耐え切れなくなった三菱養和は28分、吉永の右クロスを仁平に押し込まれて1点差に迫られる。だがさらに圧力をかけてくる相手に対し、1ヵ月間磨いてきた力で確実に跳ね返した三菱養和は3-2で勝利。「街クラブの代表として戦わなければならない」と生方監督も話す三菱養和が今大会でもJクラブからの勝利をおさめた。

 MF田鍋陵太、MF佐藤聖のエース級アタッカー2人が先発を外れたものの、川上やMF北出雄星といった2年生が勝利に貢献。選手層の向上も印象付けたチームの次なる壁は日本クラブユース選手権覇者の東京Vだ。近藤が「高円宮杯(全日本ユース選手権)ではベスト4まではいけたけど、決勝にはいけなかった。(日本)クラブユース選手権、高円宮杯、Jユースカップの3つの大会でファイナリストとして戦うことが自分たちの目標」と誓う三菱養和は、Jユース勢の壁を突破して今度こそ目標を果たすことができるか。

(取材・文 吉田太郎)

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