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前田が初の2年連続得点王。エースとしてアジア杯でもゴール量産へ

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 残した堂々たる成績とは裏腹に、昨年と同様、カクテル光線を恥ずかしそうな表情で浴びていた。今年も、この男が得点王としてアウォーズに帰ってきた。それもJリーグの歴史を塗り替えたストライカーとして。ジュビロ磐田FW前田遼一は17得点を奪い2年連続で得点王を獲得したが、これは史上初の快挙だった。

 「僕が2年連続でここに立てるのは、チームメイトのおかげです。もちろん最終戦だけではないですが、特に最終戦は僕にボールを集めてくれました。チームが大敗(C大阪に2-6)してしまったのは、リスクを負ってでも僕に点を取らせてやろうと、みんなが思ってくれたからかもしれません」

 最終節のC大阪戦で1得点を加え、FWケネディ(名古屋)とともに得点王に輝いたが、この試合、チームは2-6で大敗。前田は御膳立てしてくれたチームメートに感謝の言葉を口にした。とはいえ2年連続の得点王が史上初ということは「シーズン中から知っていました」。周囲に促された面もあるが、得点王は意識して“自ら獲りに行った”タイトルだった。

 尊敬する大先輩も成し得なかった記録。「光栄です。でも肩を並べたとは思っていないです」。これまで得点王の最多獲得者はFW中山雅史で2回(1998年と2000年)。回数は同じだが、中山はもちろんFW三浦知良、FW福田正博、FW高原直泰、FWエムボマ、FWエメルソン、FWワシントン、FWジュニーニョらJリーグに名声を残すどんな点取り屋でさえできなかった、連続載冠の偉業は素晴らしい。

 ゴールを取り続けられる秘訣については「怪我をせずに試合に出続けられたことが一番大きいと思います。(ゴールチャンスの)確率は確実に増えるので」。数年前までは怪我で数試合を離脱することが多かった前田。“未完の大器”と、褒められているのか揶揄されているのか分からない代名詞が付いた。だが昨季はリーグ戦34試合、今季は同33試合に出場。技術的な成長はあまり感じていないことを明かしたが、シーズン通して戦い抜ける体づくりに励んできた成果が表れている。

 「W杯に出たかったです」

 悔しさも原動力になった。年齢も含め、まさに絶頂期で迎えるはずだった南アフリカW杯。サポーターから圧倒的な支持を受けながら岡田武史監督に、戦術に適合しないと判断されて落選した。あまり悔しさを表に出さなかったが、一心不乱に、不言実行でゴールを追い求めてきた。全17得点中、W杯後に10得点を獲得。ナビスコ杯でもエースとしてチームを牽引した。広島との決勝戦では2得点を決めて優勝に導き、MVPも獲得した。チームの順位が11位だったため納得はしていないが、個人としては最高の結果を残した。

 「選ばれたら試合に出て勝利に貢献したいです。国際舞台でゴールするのは難しい? あまり代表の試合に出たことがないので分からないけど、ゴールを取るのはどの試合でも難しい。試合に出たらゴールを取れるように頑張りたい」

 来年1月からは新生日本代表、ザックジャパン初の公式戦となるアジアカップ2011が行われ、前田はエースとして期待される。この大会はチームの熟成だけでなく、優勝すればコンフェデレーションズ杯への出場権も得られる重要な大会となる。

 FWで名を連ねたのは岡崎慎司(清水)や森本貴幸(カターニア)、そのほか平井将生(G大阪)や李忠成(広島)がいるが、森本はクラブで出場機会に苦しみ、ほかの選手もまだまだ若く“絶対的”とはいえない。前田の活躍にかかる部分は大きい。

 「3年連続得点王を狙う? 今はまだ考えていないです。来年はチームメートを活かすプレーと自分自身が点を取るプレーを磨いて、さらに強いチームの一員になれるよう努力したい。1試合1試合を大事にして、数多く点を取りたい」と来季の目標を口にした前田。磐田でも日本代表でもエースとして、最前線でチームを引っ張る。そして勝利をつかむ-。南アフリカW杯16強で熱狂に包まれた2010年のサッカー界。その興奮、感動を来年も-。そんなサッカーファンの期待に、前田が必ず応えてくれるはずだ。

▼各賞の一覧はコチラ

[写真]2年連続の得点王に輝いたFW前田遼一

(取材・文 近藤安弘)

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