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[MOM122]関西大FW藤澤典隆(4年)_タレント軍団の主将、技で沸かせる

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.23 全日本大学選手権準決勝 関西大 1-0 福岡大 平塚]

 「相手が嫌がることができたと思う」。170cmと小柄ながらもハイレベルなテクニックを備える関西大のキャプテン、FW藤澤典隆(4年)がV候補・福岡大撃破の立役者だった。

 抜群のキープ力を生かしたドリブルで相手DF陣に襲い掛かり、プレッシャーが厳しいと思えば難なくはたいて動き直す。そして相手の急所をついて的確に仕留める。その多彩な動きが福岡大を翻弄した。

 前半42分にはDF田中雄大(4年、川崎フロンターレ加入内定)の左クロス、FW金園英学(4年、ジュビロ磐田加入内定)の折り返しという“J内定ホットライン”がつないだボールを頭で押し込み決勝ゴール。試合を決める仕事をしてのけた技巧派FWは後半8分にも、MF海田佳祐(1年)からのパスを受けるとDFのマークを外してPAへ侵入すると、GKの動きをよく見てPKを誘発した。
 このPKは金園が外し、追加点とはならなかったものの、再三1人で福大DF陣を切り崩した。それでも「パスをインターセプトされる回数が多かった。正確性が武器なのに、雑だった」と猛省。決勝点も笑顔は控えめだった。

 関大の切り込み隊長は現在、将来へ向けた戦いの真っ只中に置かれている。J入り内定を決めた田中雄や金園の姿を悔しい思いで見つめてきた。「Jに行きたいし進路を早く決めたいけど、誰も取ってくれない・・・・・・。(インカレが)就活という考えはない。でももっと自分を出さないといけない」と力をこめる。ピッチで見せているパフォーマンスはこの日ピッチに立っていたJ内定者たちにも見劣りしない。その中で本人が身につけたいのは「絶対の武器」。圧倒的なスピードがある訳ではなく、フィジカル面で飛び抜けている訳でもない。ただし技術で見るものを興奮させる力がある。
 「もっと見ている人が『おっ』と思うようなプレーがしたい」。関大の背番号8はインパクトのある働きで自らの将来も切り開くつもりだ。

 大学サッカー界屈指のタレント軍団で下級生時から試合に出続けてきた。加えてサッカーに取り組む姿勢や、責任感の強さ。特に下級生からの信頼が厚く、今年はその声に推されてキャプテンマークを巻き続けている。タレント軍団を率いる重圧に悩まされた時期もある。ただ仲間たちの助けがあって牽引することができた。目標は11月1月5日に国立で行われる決勝に勝ち、学歌を歌うこと。「気持ちをどれだけ出せるかが大事」と語るタレント軍団の主将が、チームの先頭に立って国立で栄冠を掴み取る。

(取材・文 吉田太郎)

第59回大学選手権特集
連載:大学マン・オブ・ザ・マッチ

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