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[MOM381]座間DF内田浩彰(3年)_“小さなCB”が大きな歴史的一発!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 座間1-0香芝 ニッパ球]

 “小さなCB”が大きな仕事をやってのけた。座間(神奈川)DF内田浩彰(3年)が、選手権初出場初陣勝利に導いた。前半4分、MF森崎悟(3年)の左CKでニアサイドに勢いよく飛び込み、ヘディングでゴールネットを揺らした。これが同校史上初の“選手権ゴール”で、1-0勝利の決勝弾になった。

 「大会前の練習で何度も練習していた形が出ました。前々から決めるのをイメージしてたけど、決められて良かったです。長身選手に勝つ秘訣? 相手より先に飛ぶことを意識しています」

 内田は笑顔で振り返った。CBと聞けば長身をイメージするだろうが、実は171cmとCBとしてどころか、サッカー選手としても小柄な部類に入る。しかし、それを補おうと必死に練習した。少しでも速く、そして相手の前に飛び込むように心がけた。それがこの日のヘディング弾につながった。

 手本は宮本恒靖今野泰幸のような同じく小柄なCBかと思われたが、あえて“本格派”を教材にしたという。高さが武器の鹿島DF岩政大樹のプレーDVDを何度も見てヘディングを強化した。攻撃はもちろん、守備でも活かされた。

 「岩政さんは自分より大きな相手でも、先に体を寄せて飛ばさないようにしている」と内田。この日は後半から、香芝(奈良)が194cmと平山相太よりも大きいFW柳智幸を投入してきたが、うまく体を寄せて自由に飛ばせなかった。もちろん、ゴールも割らせなかった。「高さで負けるのは分かっていた。うちは両CBとも大きくないので、カバーし合った」とニンマリだった。

 友のためにも、いつも以上に力を振り絞った。本来は主将で、県予選の準決勝、決勝では2試合連続でPK戦2本をセーブしているGK宇佐美輝(3年)が、11月末の練習で右膝の前十字靱帯断裂と半月板損傷という大怪我を負った。内田はその代役として、今大会の主将を任された。「頑張ってねと言われたので、宇佐美のために頑張るよと話しました。宇佐美はいつも、後ろから声をかけてくれていた。宇佐美が出していたように、自分も声を出そうと思った」と“宇佐美魂”を背負って戦っていた。

 「DFリーダーとして、自分の役割をしっかりやってくれた。安定した守備を見せてくれました。ゲームキャプテンとして、プレーで引っ張ってくれた。十分にやってくれた」と内田雅之監督も“新キャプテン”の仕事ぶりを手放しで称えた。次の相手は攻撃力が売りの久御山(京都)だが、内田は再び堅守を発揮するつもりだ。小さな体に頭脳的守備も備える男は、さらに大きな仕事をやってのける。

[写真]内田の決めたドンピシャ・ヘッド弾。努力が大一番で実った
(写真協力 『高校サッカー年鑑』)


(取材・文 近藤安弘)

【特設】高校選手権2010

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