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[選手権]前回準優勝の青森山田、柴崎の“2アシスト”で前々回覇者に快勝

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[1.2 全国高校選手権2回戦 広島皆実0-2青森山田 西が丘]
 第89回全国高校サッカー選手権の2回戦が2日に各地で行われ、東京・西が丘サッカー場の第2試合では一昨年覇者の広島皆実(広島)と、前年準優勝の青森山田(青森)が激突した。8056人と満員に近い観衆が詰めかけた中、青森山田が2-0で勝利し、3回戦・滝川二(兵庫)に駒を進めた。
 ともに4-4-2を採用し、がっぷり四つとなったが、序盤は広島皆実が速いプレスと縦への攻撃でリズムをつかんだ。FW香山洸哉(3年)、FW大武弘直(3年)らがDFラインを裏を狙って走り回った。
 しかし、青森山田はあの男が流れを変えた。前半25分、左サイドを攻略して仕掛ける中、鹿島アントラーズ内定のボランチ、MF柴崎岳(3年)がPA内左に侵入してパスを受け、そのまま強烈なシュート。こぼれ球をFW橘一輝(3年)が押し込み、先制に成功した。
 「いい時間帯に点が取れて優位に試合を進められた」と試合後に柴崎が振り返ったが、これで青森山がリズムを取り戻した。そしてまだ広島皆実が動揺から切り替えられない中、先制から3分後に追加点を奪った。
 中央付近でのルーズボールに柴崎が反応。ゴールに少し背を向けた形となったが、丁寧な浮き球でDFラインの裏へ通した。キックの瞬間、MF三田尚希(3年)が斜めから飛び込んでおり、そのまま2-0とするゴールを奪った。柴崎は出す前に首を振って周りを確認しており、司令塔の冷静な判断と、そして信じて走った三田の好連携が光った。
 背番号10の司令塔、柴崎の“2アシスト”で2点と最高の形でゴールを奪った青森山田。しかし、その後は広島皆実が奮闘を見せる。FC東京DF森重真人の弟で、CB森重瑞紀主将(3年)を中心にしっかりと守り、素早い攻撃を仕掛けた。0-2で迎えた後半11分、香山が強烈なシュート。これは清水エスパルス内定のGK櫛引政敏に阻まれた。
 その後は少しこう着状態が続いたが、ボールをつなぐ青森山田に対し、ショートカウンターで襲いかかった。後半34分、再び広島皆実に好機が生まれる。途中出場のFW宮原崇晃(3年)がロングパスに上手いトラップで抜け出しPA内左へ。飛び出したGKをあざ笑うようにシュートしたが、角度がなかかったため、これを外してしまった。試合はそのまま2-0で青森山田が勝利した。
 青森山田の黒田剛監督は「しのぎあいの中で、1点目、2点目と早い時間に取れてよかった。ボールを良く動かして、守備のポイントをつかみにくくすることができた。優勝候補といわれるプレッシャーもなくやれた」と選手たちを称えた。3回戦の相手は勢いに乗る滝川二だが、柴崎は「強豪ばかりがいるブロックだということは分かっていた。しっかりと戦いたい」と淡々と語った。目標は昨年あと一歩で逃した優勝だけに、ひとつ勝ったくらいでは喜べないという雰囲気が漂っていた。
[写真]2点目を決めた三田に駆け寄る青森山田イレブン
(写真協力 『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 近藤安弘)

【特設】高校選手権2010

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