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2大会ぶり最多4度目のアジア制覇!途中出場・李の劇弾で延長戦制す

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[1.29 アジア杯決勝 日本1-0(延長)オーストラリア カリファ]

 アジア王座奪還!! 日本代表は29日、アジア杯決勝でオーストラリアと対戦。0-0のまま2試合連続の延長戦となった死闘は、延長後半4分、途中出場のFW李忠成(広島)が劇的な決勝点を決め、日本が1-0で競り勝った。04年大会以来、2大会ぶりの優勝。史上最多となる4度目のアジア制覇を成し遂げ、13年にブラジルで開催されるコンフェデレーションズ杯への出場権も獲得した。

 日本はDF吉田麻也が出場停止明けで先発に復帰したほか、右第5中足骨骨折で離脱したMF香川真司に代わりMF藤本淳吾が国際Aマッチ初先発。2列目は右から藤本、本田圭佑、岡崎慎司と並び、FW前田遼一が1トップを務めた。
 オーストラリアは4-4-2のシステムで、FWティム・ケーヒルとMFハリー・キューウェルが2トップを組んだ。
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 試合は序盤から互いにゴール前に攻め込む激しい立ち上がりとなった。オーストラリアは前半1分、キューウェルがロングシュート。同2分には中盤でボールを奪って速攻を仕掛け、MFホルマンのラストパスからフリーのMFマッケイが左足でシュートを打ったが、ゴール左へ外れた。

 日本も前半4分、MF遠藤保仁がゴール前に入れた浮き球のパスに本田圭が反応。PA内で倒れたが、PKの笛はなかった。同9分には本田圭のスルーパスがDFに当たってこぼれたボールに対し、GKシュウォーツァーがゴールを空けて飛び出し、必死にクリア。これを拾ったDF長友佑都が無人のゴールに向かってロングシュートを狙ったが、ゴール上に浮いた。

 両チーム通じて最初の決定機は前半19分。オーストラリアはDFカーニーの左CKをケーヒルがDF今野泰幸に競り勝ち、ヘディングシュート。これをゴール前のキューウェルが頭でそらし、ゴールを狙ったが、GK川島永嗣がかろうじて手に当てた。

 シンプルな攻撃ながら、日本はボールの出どころに対してプレッシャーをかけられず、次々と危ない場面を招く。徐々にりズムをつかむオーストラリアは前半22分、DFウィルクシャーの右サイドからのアーリークロスにケーヒルがDF吉田麻也と競り合いながらヘディングシュートを放つもゴール上へ。同28分にもウィルクシャーの右クロスにキューウェルが頭で合わせたが、枠を捉え切れなかった。

 守備でリズムをつかめない日本は攻撃でも藤本がサイドの高い位置で張り過ぎるためになかなかボールに絡めず、苦しい展開を強いられる。前半30分には左サイドをドリブルで駆け上がった本田圭のスルーパスを受けた岡崎が右足で狙うも、シュートはDFに当たってGKがキャッチ。同32分にはDFニールの自陣からのロングフィードをケーヒルが頭で落とし、キューウェルが右足でシュートを放つ決定機をつくられたが、相手のシュートミスに助けられた。

 日本は前半37分、ようやくいい形でチャンスをつくり、岡崎からパスを受けた本田圭がスルーパス。ゴール前に走り込んだ遠藤はシュートではなく、マイナスに戻したが、前田は下がりながらの体勢となり、左足のシュートはゴール上に外れた。前半はそのまま0-0で終了。日本とすれば、相手の決定力の低さに救われ、ラッキーなスコアレスでの折り返しとなった。

 後半立ち上がりの3分にも日本はヒヤリとさせられた。オーストラリアはウィルクシャーの右クロスがそのままゴール方向に流れると、GK川島がボールに触れず、クロスバーに当たる。真下に落ちたボールはケーヒルの体に当たってこぼれたが、ゴールラインぎりぎりで吉田が止め、長谷部が大きくクリアした。

 後半8分にもDFカーニーの左クロスにケーヒルが今野に競り勝って頭で落とす。キューウェルの左足ボレーは当たり損ねとなったが、日本のディフェンスはプレスが甘く、ゴール前で競り勝てず、セカンドボールも拾えない悪循環に陥った。

 しびれを切らしたザッケローニ監督は後半11分、プレーに精彩を欠く藤本に代えてDF岩政大樹を送り込む。4バックは変えず、岩政と吉田のCBで、今野を左SBに回すと、2列目を右から岡崎、本田圭、長友に変更。オーストラリアの高さに対し、空中戦に強い岩政を投入して守備の安定を図った。

 日本は後半18分、ようやくチャンスをつくる。長友が左サイドからドリブルで中に切れ込み、逆サイドへパス。岡崎のシュートのこぼれ球を前田が角度のない位置から倒れながら右足で狙ったが、ゴール右へ外れた。

 オーストラリアは後半20分、ホルマンに代えてMFエマートンを投入し、最初のカードを切る。直後の同21分、日本に最大の決定機が訪れる。長友が中に行くと見せかけ、縦に突破。左足のクロスに岡崎が逆サイドから走り込み、得意のダイビングヘッドで合わせたが、シュートはゴールのわずか右へ。岡崎は仰向けに倒れたまま、地面を叩いて悔しがった。

 後半27分にはオーストラリアにビッグチャンス。自陣からのロングフィードが吉田とケーヒルの頭上を越えると、キューウェルが岩政との競り合いから頭でボールをそらし、前に抜ける。GKと1対1の絶好機だったが、キューウェルの左足シュートはGK川島が足でセーブ。守護神がゴールを死守し、0-0のまま終盤に入った。

 後半42分には今野のバックパスが弱くなり、決定的なピンチを招いた日本だが、ボールに詰めたキューウェルのシュートは飛び出したGK川島が体を張ってセーブ。同44分のカーニーのシュートも長谷部が体を投げ出してブロックするなど、なんとか耐え抜き、90分間が終了した。

 こう着状態が続く延長戦。延長前半8分、前田に代えてFW李忠成をピッチに入れ、2枚目の交代カードを切る。オーストラリアは同12分、マッケイの縦パスからキューウェルがつぶれ、こぼれ球をエマートンが左足で狙ったが、シュートはゴール左へ。直後の同13分、キューウェルに代えてFWクルスを投入した。

 延長前半14分には互いに決定機をつくる。オーストラリアはエマートンの右クロスにクルスが頭で合わせると、GK川島が右腕を精いっぱい伸ばし、ビッグセーブ。直後には日本も長友からマイナスのパスを受けた本田圭が左足ミドルを放ったが、ゴール右へ外れた。

 そして、延長後半4分、ついに均衡が破れた。左サイドでボールを持った長友がゴール前にクロスを上げると、逆サイドでフリーの李が完璧な左足ボレー。弾丸シュートがゴール左上隅に突き刺さり、日本が先制に成功した。

 オーストラリアは直後の延長後半5分にケーヒルを下げ、MFキルケニーを投入。最後の反撃を仕掛けるが、日本の守備陣も集中を切らさない。延長後半15分に失点した準決勝・韓国戦の二の舞は演じまいと体を張って、オーストラリアの猛攻を跳ね返した。

 延長後半15分、内田に代えてDF伊野波雅彦を投入し、逃げ切りを図る。延長後半17分にはPAすぐ外でFKを与えたが、こぼれ球をゴール前で跳ね返し、タイムアップのホイッスル。延長120分間の激闘を制し、ザックジャパンがアジアの頂点に立った。

[写真]優勝トロフィーを掲げる長谷部他日本代表チーム

(取材・文 西山紘平)

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