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高木兄弟三男の2戦連続ハットトリック&端山2発で東京Vユースが決勝進出

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[2.6 東京都クラブユース(U-17)選手権決勝L 東京Vユース 5-1三菱養和SCユース ヴェルG]

 平成22年度第12回東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会決勝リーグB組が6日に行われ、東京ヴェルディユースと三菱養和SCユースが対戦。東京VユースがMF端山豪の2得点とMF高木大輔(東京Vジュニアユース)のハットトリックで5-1と快勝した。決勝戦は11日に東京・西が丘サッカー場で行われ、東京VユースとFC東京U-18が対戦する。

 東京Vユースは主力FW南秀仁が故障で欠場。さらにはMF杉本竜士がトップチームの高知キャンプへ帯同しているため、不在という状況だったが、新たにヴェルディの“10番”を背負う端山を中心に、ゲームを主導してみせた。序盤こそ、三菱養和SCユースの高い位置からのプレスに攻めあぐねたものの先制に成功。前半24分、端山が中央からゴール左隅へミドルシュートを決めた。そのまま相手にチャンスらしいチャンスを与えずに、前半を1-0で折り返した。

 その後は、後半から途中出場した中学3年生のMF高木大輔(東京Vジュニアユース)が一気に流れを持ち込んだ。後半2分、MF前田直輝からのスルーパスに左サイドを抜け出すとGKとの1対1を落ち着いてゴール右隅へ流し込み、追加点。ファーストプレーで得点を奪ってみせた。その勢いは止まらない。同12分、左クロスをMF宮地元貴が競り合うと、こぼれ球に反応したのは高木。ボールを頭上へ蹴り上げ、DFを一人交わし、左足で放ったボレーシュートはゴールネットを大きく揺らした。これには本人も「自分らしくないプレーで、自分ってこんなこと出来るんだって感じでした」と振り返った。兄の俊幸や善朗に比べると「技術はない」と話す三男が見事な技術でゴールを奪った。

 3-0と大きく相手を突き放すと、1分後には中央でボールを受けた高木がスルーパス。これに端山が抜け出し、GKを交わして無人のゴールへ4点目を流し込んだ。その後、セットプレーから失点を喫したが、終了間際の47分、DF舘野俊祐のグラウンダーの左クロスに抜け出したのは高木。右足で冷静に試合を決定付けるゴールを決めてハットトリックを達成した。

 前の試合でも後半45分間だけの出場で、3得点を決めている高木は、これで2戦連続のハットトリック。「今日は2点取って、もういいかなと思ったら。監督にもう1点行け!と言われたので、どんな形で取ればいいのかと、どうしようかと思いました。でも、ハットトリックできて良かったです」と笑顔をみせた。

 試合後、東京Vユースの楠瀬直木監督は「正直、去年のチームよりも練習に倍の時間がかかっている」と渋い表情をみせた。トップ昇格を果たしたMF高木善朗やMF小林祐希、DFキローラン木鈴、DF高野光司、GKキローラン菜入を擁して全日本クラブユース選手権で日本一に輝いた昨年からは、確かに個々の能力は落ちる。それでも、昨年から大きくメンバーの変わった最終ラインは最小失点で耐え切り、高木善らに代わって入ってくる新1年生の高木大らが結果を残した。チーム力は未知数だが、今後の伸び方次第では“大物食い”のできるチームに育つ可能性は大いにありそうだ。決勝戦へ向けて楠瀬監督は「いい物差し。今年のチーム力が計れます」とコメントした。

 一方、5失点で敗戦となった三菱養和ユースだったが、生方修司監督は「去年も、その前もこの大会ではヴェルディさんに5失点でやられている。今はまだ身体能力の差などがあって、ごまかしが利かない。ここからがスタートだと選手たちも話していた。強いチーム相手にこれから工夫していきたい」と前を向いた。

 エースのU-18日本代表・MF田鍋陵太が修学旅行明けで欠場というチーム状況だったが、0-4で迎えた後半34分には、清水貴明のFKにDF冨田将司が頭で合わせて1点を返した。完封負けを喫したわけではない。FW横田修平は果敢なドリブル突破でリズムをつくり、MF川崎圭亮は要所要所で効果的なパスを演出した。「1月の立ち上げからフィジカル重視で練習してきて、今日は体が重かったところもあるかもしれない。4月までには上げていきたい」と生方監督は話した。昨シーズンは全日本ユース(U-18)選手権でJクラブを次々と倒し、4強進出を果たした“街クラブの雄”である三菱養和SCユース。今季もその再現をするつもりだ。

 決勝戦は東京VユースとF東京U-18との“東京ダービー”となる。勝者は天皇杯東京都予選の出場権を手にすることができる。昨年はこの大会で出場資格を得た東京Vユースが、大学チームや社会人チームを次々となぎ倒し、東京都としては初となる天皇杯本戦への出場を決めた。今年度の挑戦権を手にするのはどちらのチームか。白熱の一戦となりそうだ。

(取材・文 片岡涼)

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