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雪中の大熱戦!10人のF東京U-18が東京Vユース撃破!

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[2.11 東京都クラブユース選手権決勝 東京Vユース 1-2 F東京U-18 西が丘]

 11日、平成22年度第12回東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会決勝でFC東京U-18と東京ヴェルディユースとのライバル対決が実現。F東京U-18が2-1で逆転勝ちし、天皇杯東京都予選・学生の部出場権を獲得した。

 未明から振り出した雪が試合中さらに激しくなり、あっという間に白く染まった西が丘サッカー場のピッチ。東京都心では非常に珍しい雪上での一戦となったライバル対決は、F東京U-18が「魂の勝利」を遂げた。後半22分にSB吉田一彦が2枚目の警告を受けて退場するアクシデントにより、10人での戦い。押し込まれながらも耐えたF東京は1点リードしたまま試合終了の瞬間を迎えると、レギュラーと控え選手が入り混じって喜びを爆発させる。一方、東京Vは白いピッチに座り込み、仰向けに倒れこんで悔しがる選手もいた。

 ともに昨年からのレギュラーであるSB村松知稀が「前回負けて準優勝だったので負けたくなかった」と振り返り、CB小林聖弥が「今年は絶対勝つ。負けられない、という気持ちだった」と語った東京Vとの一戦。だが、先に試合を動かしたのは、東京Vだった。前半10分、敵陣中央でのFKからMF端山豪が意表を突くグランダーの縦パス。ここからつないだボールをFW金子綺杜が丁寧に後方へ落とすと、SB舘野俊祐が狙い済ました右足コントロールショットを決めて先制した。

 だがF東京は直後の16分、FW岩田拓也がドリブルで鋭くPAまで運ぶと、東京Vの守備陣がボールを奪いながら連係ミス。ここで圧力をかけたF東京は、苦し紛れのクリアを拾ったMF二瓶翼がドリブルから右足ミドルを放つ。1年生MFの思い切った一撃は相手DFに当たってわずかにコースが変わり、そのままゴールへと吸い込まれた。 

 試合を振り出しに戻したF東京は抜群のキープ力を見せるMF橋本拳人の右クロスから岩田が決定的な右足ボレーを放ったほか、再三吉田が右サイドを駆け上がるなどサイド攻撃を軸に勝ち越しゴールを狙うと、33分には右クロスに二アサイドへ飛び込んだ岩田が押し倒されてPKを獲得。これを志願のキッカーを務めた橋本が右足で決めて、試合をひっくり返した。

 恥骨炎の影響でU-18日本代表候補FW南秀仁を欠いた東京Vだが、雪上にも関わらず端山やU-17日本代表候補のFW高木大輔らがテクニックを駆使したドリブル、ショートパスからチャンスをつくり出す。そして40分には、前日にトップチームの高知合宿から戻ったばかりのU-18日本代表候補MF杉本竜士を投入。攻撃の手をさらに強めたチームは43分に舘野の左足FKがゴールを捉えるなど同点機をつくり出すと後半8分、混戦からドリブルで切れ込んだ端山が相手ファウルによりPKを獲得する。だが端山の右足シュートはF東京GK馬場拓郎が右へ跳んではじき出すビッグセーブ。東京Vは絶好のチャンスを逃してしまった。
 
 守護神に救われたF東京だったが、さらなる苦難がチームを襲う。22分、相手の突破をファウルで止めた吉田が2枚目の警告により退場。この後はスペースを狙う杉本や果敢なオーバーラップを仕掛ける舘野ら東京Vが数的優位を生かして飲み込もうとする。だが「10人になってからまとまった。チーム一丸になれた。ここでまとまったから失点しなかったと思う」と橋本が振り返ったようにF東京は、10人であることを感じさせないような運動量と体を張ったディフェンスでゴールを死守。40分には端山のFKから杉本に決定的な形で飛び込まれるなど危険な場面もあったが、好守を見せた馬場ら全員でゴールを守りきった。
 
 現時点でのチーム力と互いの意地をぶつけ合ったライバル対決。東京Vの楠瀬直木監督が「F東京の踏ん張りが勝った。(東京Vの)素材は素晴らしいが甘い。今後を考えると拙い負け方」と危機感を募らせた一方、F東京の倉又寿雄監督は「チームができていない中、結果にこだわってくれたのはよかった」と10人で勝ちきった選手たちの奮闘に目を細めていた。
 
 F東京は昨年は全日本ユース選手権ならびにJユースカップで準優勝。ユース勢の中では特に勝利へのこだわりを示しているチームだが、今年はトップチームがJ2で戦うこともあり、クラブの阿久根社長からユースチームにも改めて「勝負にこだわってやっていこう」ということを伝えられたという。その中で結果にこだわり、まずは1冠を獲得した。

 ライバル撃破を果たした小林が「好スタートを切ることができた」と喜んだ“新人戦優勝”。村松は「全てのタイトルを取って卒業する」と誓っていた。「今年はまとまりがない」と評価されていたチームだが、一丸となってつかんだ勝利で本格的なシーズン開幕へ向けて弾みをつけた。

(取材・文 吉田太郎)

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