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[デンチャレ]成長と勢いの関東B、前回王者に撃ち勝つ

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[3.4 デンソーカップチャレンジ1回戦 関東B選抜4-2東海・北信越選抜]

 大学サッカーの地域対抗戦「デンソーカップチャレンジ」が開幕。昨年度優勝の東海・北信越選抜と対戦した関東B選抜は4-2で勝ち、全日本大学選抜と対戦する準決勝へ進出した。 

 「正直、2-2に追いつかれたときは“やられた”と思った。今日は4点取れたというより、3点目が取れたことが大きい」。試合後、関東Bの青葉幸洋監督(順天堂大)は、そう胸をなでおろした。それもいたしかたのないところだろう。前半を2-0でリードして折り返したものの、後半に追いつかれて試合は振り出しに戻った。だが、交代で入ったFW松本大輝(法政大1年=大津高)がゴールを奪い、再びリード。さらに終了間際にはボランチのMF茶島雄介(東京学芸大1年=広島ユース)が追加点をあげ終わってみれば4-2。1、2年中心の関東Bが、昨年度優勝チームの東海・北信越を破って全日本大学選抜と対戦するチケットを手に入れた。

 関東Bの特徴はよくも悪くもその若さだ。3年生中心のディフェンスラインを屋台骨にしているとはいえ、攻撃の主軸は1、2年生が多い。それだけに勢いに乗れば怖いが、乗れなかった場合はずるずると相手の攻撃に引きずられる可能性があった。

 試合序盤に関しては、その懸念していた弱点が出る結果となった。長短のパスを使い、確実に前線にボールを入れてくる東海・北信越に対し、関東Bは中盤でボールを触ることができない。堅固な守備でシュートシーンこそ作らせなかったものの、流れは完全に東海・北信越だった。だが20分近くになると、関東Bのディフェンスラインがボールをキープ。徐々にラインをあげ、中盤に効果的なボールを送り始める。

 33分の先制点も、起点となったのはCB今井純(筑波大2年=磐田東高)のキックだった。MF庄司悦大(専修大3年=清水商高)がつないだボールを、FW征矢智和(流通経済大3年=東京Vユース)が体勢を崩しながらシュート。この1点で勢いにのった関東Bは、その2分後にも右SB田中奏一(慶應義塾大3年=F東京U-18)のクロスを庄司がつなぎ、最後はMF上村岬(筑波大1年=磐田ユース)がゴール。わずかな時間に追加点をあげ、2-0とリードを広げる。

 だが、後半に入ると東海・北信越が反撃を開始。ジリジリとラインを押し上げて主導権を握ると関東Bのボランチの動きを封じ、前線のFW片山勇佑(静岡産業大3年=磐田東高)、中村亮太(中京大2年=中京大中京高)らにボールを集め始めた。そして24分には金尚佑(新潟経営大3年=徳島ヴォルティス)のクロスに片山が頭で合わせてゴール。さらに35分にも、増田誠也(浜松大3年=清水商高)がキープしたボールに田原陽平(新潟経営大3年=長崎日大高)が右足で合わせてついに同点とする。

 流れは完全に東海・北信越だった。だが、関東Bはここで1年生FWの松本を投入する。大会前に行われた関東Aとの試合でも得点をあげた“点取り屋”はここでも期待に応えた。左サイドの攻撃から放たれたシュートをGKがこぼすと、素早くそれに反応。ボールを押しこんで3点目をあげ、東海・北信越に傾きかけた流れを再び関東Bにひきもどした。これで完全に勢いを取り戻した関東Bは、終了間際に茶島がダメ押しともいえる4点目をゲット。東海・北信越を引き離して試合を終えた。

 「今日は苦しい内容からもう一度立ち直れたのがよかった」と関東Bの青葉監督。次戦の全日本大学選抜は、選手の多くが“対戦したい”としていた相手だ。「全日本と戦うことは選手にとって大きなモチベーションだった。でもただのモチベーションで終わらせるつもりはない。サッカーは番狂わせがなければおもしろくない」(青葉監督)。若いチームの成長と勢いが、優勝候補を下す番狂わせのシナリオはあるのか。次戦に期待したい。

[写真]前半34分、上村のゴールを喜ぶ関東B選抜
(取材・文 飯嶋玲子)
第25回デンソーチャレンジ堺大会特集

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