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慈善試合は日本代表が勝利、カズが被災地へ届けるゴール&カズダンス

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[3.29 東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ 日本代表2-1JリーグTEAM AS ONE 長居]

 日本代表とJリーグ選抜「Jリーグ TEAM AS ONE」が対戦する「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」が29日、大阪・長居スタジアムで開催された。日本代表は前半19分にMF遠藤保仁の直接FKで先制すると、同29分にもFW岡崎慎司が追加点。Jリーグ選抜も後半37分に途中出場のFW三浦知良がゴールを決め、夢の対決は2-1で日本代表が勝利をおさめた。

 スタンドには被災地の人々を激励するメッセージが書かれた横断幕が多数掲げられ、両チームの選手たちもそれぞれ直筆メッセージを記したTシャツをユニフォームの上に着て入場。試合開始前には両チームのキャプテンがそれぞれチームを代表し、サポーターの前で挨拶した。

●MF長谷部誠(日本代表主将)
「僕たちがいつもグラウンドで戦っているとき、いつも大きな力を与えてくれたのが皆さんの応援でした。世界中の皆さんと一緒に、今度は僕たちが皆さんを応援する番です。日本の力、サッカーの力を信じて、仲間と一緒に、全力で気持ちを込めてプレーします」

●DF中澤佑二(Jリーグ選抜主将)
「僕たちTEAM AS ONEはこの試合、全力で最後まであきらめずに戦います。そして僕は信じています。乗り越えられない困難なものは決してないということを。すべての人の思いを込めて、力を一つに」

 試合では日本代表は初めて3-4-3のシステムを採用。体調不良で前日練習から合流したばかりのFW岡崎慎司、DF長友佑都も先発でピッチに立った。
 Jリーグ選抜は4-3-3のシステム。MF小笠原満男は中盤のアンカーを務め、MF梁勇基が3トップの右に入った。
[スタメン&布陣はコチラ]

 立ち上がりは中盤に技術の高い選手がそろうJリーグ選抜がボール支配率を高めた。前半7分にはパスミスを奪ったFW佐藤寿人がPA外から左足で強烈なミドルシュート。しかし、これはGK川島永嗣が鋭い反応でかき出し、ピンチをしのいだ。

 徐々にペースをつかむ日本代表は前半14分、DF中澤佑二のパスミスを奪ったFW本田圭佑がそのままドリブルで仕掛け、MF中村憲剛からファウルを受ける。右45度の位置で獲得したFKのチャンス。左利きの本田圭が直接狙うかと思われたが、MF遠藤保仁が右足を振ると、5枚の壁の右側を巻いたボールはゴール右隅へ。遠藤の芸術FKで日本代表が先制。選手たちはベンチ前で控え選手と一緒にゴールを喜び、右手人差し指を天にかざした。

 連係面のかみ合わないJリーグ選抜に対し、先制点で勢いに乗る日本代表は前半19分にも相手のパスミスから本田圭がボールを奪って縦に突破。スルーパスに抜け出したFW岡崎慎司が右足でGKの頭上を越すチップキックを決め、2-0とリードを広げた。

 前半20分にはDF長友佑都が左サイドから中に切れ込み、右足ミドルを放つもゴール右へ。同29分にもFW前田遼一の縦パスに反応した本田圭が中澤のスライディングタックルをかわしてPA内に進入。左足でシュートを打ったが、GK楢崎正剛にキャッチされた。

 選手全員を起用したい意向を示していたザッケローニ監督は前半31分、川島に代えてGK西川周作をピッチに送る。同37分にはゴールほぼ正面でFKを獲得。本田圭が直接狙ったが、シュートはゴール上に大きく浮いた。前半はそのまま2-0で終了し、後半に折り返した。

 日本代表はハーフタイムに西川、DF今野泰幸、DF伊野波雅彦を除く8人を交代。システムは3-4-3を継続した。一方のJリーグ選抜は4選手を交代。小笠原、中澤、大久保、楢崎に代わってMF中村俊輔、DF茂庭照幸、FW原口元気、GK川口能活が入った。
[後半開始時のメンバー&布陣はコチラ]

 フィールド選手8人がガラリと変わった日本代表はなかなかかみ合わず、後半立ち上がりはJリーグ選抜が相手陣内に押し込む時間が増えた。しかし、決定機をつくるまでには至らず、日本代表も後半13分にMF阿部勇樹のパスからFW藤本淳吾が左足でシュートを打ったが、GK川口にキャッチされた。

 日本代表は後半16分、西川に代えてGK東口順昭、今野に代えてDF岩政大樹を投入。Jリーグ選抜も同18分に5人を交代し、メンバー20人全員をピッチに送り込む。満を持して登場したFW三浦知良にスタンドからも大歓声が巻き起こった。
[後半18分時点のメンバー&布陣はコチラ]

 後半26分には相手のミスからFW李忠成が決定機を迎えるが、シュートはGK川口が好セーブ。同27分、FW乾貴士に代わってFW家長昭博がピッチに入った。

 果敢にゴールを狙うJリーグ選抜は後半29分、この試合最大の決定機をつくる。原口がカズとのワンツーから縦にスルーパス。MF関口訓充が完全に抜け出したが、シュートはわずかにゴール右へ外れてしまった。

 日本代表は後半33分、伊野波に代えてDF森脇良太を投入。これでMF本田拓也、MF細貝萌を除く24人を起用することになった。

 そして、この試合最大のハイライトが後半37分に訪れた。Jリーグ選抜は縦パスをDF田中マルクス闘莉王が頭で落とし、カズがゴール前に抜け出す。GKと1対1の決定機。落ち着いて右足でゴールに流し込んだ。4万613人の大観衆のボルテージが最高潮に高まる中、ゴール裏のサポーターの目の前でカズダンスも披露。Jリーグ選抜が意地の1点を返し、試合はタイムアップ。44人の選手たちは最後まで全力でプレーし、スタジアムが一体となって被災地へ元気と勇気を届けた。

[写真]ゴールを決めた三浦カズをチームメイトが祝福

(取材・文 西山紘平)

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