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小笠原、改めて感じたサッカーの力。「みんなが助け合えば被災地も復興できる」

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[3.29 東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ 日本代表2-1JリーグTEAM AS ONE 長居]

 ひとつひとつのパス、プレーに想いを込めた。津波被害の大きかった岩手県出身のMF小笠原満男(鹿島)は先発出場し、前半の45分間をプレーした。被災地支援に奔走していたため、練習はまったくできていないが、持てる力を振り絞った。小笠原らしく“戦う背中”で被災地にメッセージを送った。

「いろいろな声はあったと思うけど、やってみて、やれてよかったと思う。楽しみにしてくれた人もいたし、これだけ多くの人が集まって、ここだけでもこんなにサッカーが見たいという人もいた。サッカーを通して伝わったものもあると思うのでやれてよかった」

 最初はサッカーどころではないと、この慈善試合の参加を辞退しようとさえ考えた。だが、被災者訪問をした際、励ますつもりが「サッカーを頑張ってくださいね」と逆に励まされたという。少年少女、老若男女、さまざまな被災者の想いを背負ってピッチに立った。そして、サッカーの持つ力を改めて感じ取った。

「無我夢中でプレーして、個人的にミスばかりしてしまったけど、周りが助けてくれた。やっぱりサッカーは助け合いなんだなと思った。ミスばっかりでふがいなかったけど、周りが助けてくれたし、みんなが助け合えば被災地も復興できると思う。これからも助け合いながらやっていきたい」

 助け合い-この精神で今後もサッカーを通じて、故郷に恩返しをする。すでに、三浦知良や中村俊輔、中澤佑二らの戦友たちに加え、日本サッカー協会にも協力を要請した。ボールやスパイクどころか、グラウンドさえも失った子供たちがサッカーを少しでも早くできるように行動していく。

「いろんなところと話し合いながら協力していきたい。やれることはいっぱいあると思うので、今だけで終わらせないようにしたい。(慈善試合は)1回だけじゃ厳しいし、長期的に被災地の方でもやっていきたい。一概にどこでとは言えないけど、何かやってもいいと思うし、つめていかないといけない問題もあるので、いろんな人と話し合いながら、一番いい方向を探していきたい」

 時期を見てJリーグ選手会で被災地を訪れ、サッカー教室や慈善試合を行うプランを明かした。この日、改めて知ったサッカーの力。これを活かして支援を続ける。自分がかつてそうだったように、少年少女にもう一度、楽しくサッカーができる日を……。小笠原は愛するサッカーで、愛する故郷の人たちを助ける。

[写真]被災地の復興を願う小笠原

(取材・文 近藤安弘)

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