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ザック監督、3-4-3の“大反省会”。長友、本田、槙野ら、複数選手に熱血個別指導!

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 日本代表は3日、横浜市内で7日のキリン杯第2戦・チェコ戦(日産ス)に向けて練習を行った。1日のペルー戦では新システムの3-4-3が不発に終わったザックジャパン。事実上の再始動となったこの日、アルベルト・ザッケローニ監督は3-4-3の習得に力を注いだ。

 半ば“大反省会”といった様相だった。“熱血ザック先生”の授業は終わらない。約1時間半の全体練習のほとんどが3-4-3システムの反復練習だったが、選手たちが居残り練習に入ったときも、個別指導が続いた。4の位置の左サイドハーフを務める長友佑都を呼び止め、通訳なしで身振り手振りの熱弁をふるった。

「テーマはポジショニングと、相手の枚数を見て、自分がDFラインに入るのか、前に残るかですね。4-2-3-1はみんな慣れてるから、だからこそ今、3枚(3バック)のことをみんなが理解できれば、僕らの武器になる」

 約5分間の個別指導を受けた長友が、その内容を明かした。ザッケローニ監督は3バックとはいっても、守備的に、つまり5バック気味に守ることを嫌う。あくまで攻撃の際にサイドで数的優位をつくるために、このシステムの習得を目指している。3月に行ったJリーグ選抜とのチャリティーマッチで試したとはいえ、公式戦ではペルー戦が初で、守る際に5バックになる場面もあった。攻撃でもサイドをうまく使えず、後半からは4-2-3-1に戻した。

 だが、指揮官はあきらめない。この日は午後4時から練習が予定されていたが、その前に宿舎で「1時間を超える」(MF長谷部誠)ミーティングを行った。そのため、練習開始時間が約35分間遅れたほどだった。ペルー戦の映像を見ながら攻守両面で、場面ごとにポジショニングを細かく確認。長谷部も「細かいですね。(監督は)3-4-3のやり方に自信を持っている。自分の考えを本当に持っている方だと感じた」と舌を巻いた。

 “講義”のあとはさっそく実習だ。ピッチでもウォーミングアップのあと、すぐさま3-4-3の布陣を敷き、戦術練習に紅白戦と、徹底してこなした。その都度、選手を止めて細かく指示。その対象は長友や槙野智章今野泰幸といった守備陣だけでなく、本田圭佑関口訓充興梠慎三といった攻撃陣にまで及んだ。その数は9選手。本田に対しては少し厳しめの表情で話しかけていた。

 指示の内容について槙野は「もう少し3バックが開こうと言っていた。それと、前と後ろの関係について、もっと後ろの選手がしゃべってやろうと。今日の練習では、うまく前と後ろの関係性ができていた」と明かす。つまり、サイドから攻められたとき、サイドハーフがずるずると下がって守備をするのではなく、3バックのサイドの選手が押し上げて、外に開いて守備をしようというもの。そうすることで、ボールを奪ったときには一気に攻撃に手数をかけることができる。あくまでも攻撃的な守備を求めている。

 前日は「システムに固執しすぎ」(詳細はコチラ)などと話していた本田だが、この日は「俺の考えがすべてではないと思うけど、どこまで追い求めていくかですね。逆算して計画をしっかり立てて、目的のために順序を立ててやっていく。いろいろとトライする段階ではあるので」と、今まで以上に指揮官の意図をくんでプレーすることを示唆した。

「(3-4-3習得の)メリットは相手が混乱すること。試合中とかに、あんなに(4-2-3-1から3-4-3へとシステムを)変えられて、サイドで数的優位をつくられると正直、混乱する。どっちを見ればいいのかと。今日だったら(左FWの)岡崎が中に絞ったとき、(SBは)岡崎を見ればいいのか、それとも開いた俺(左MF)を見ればいいのか、相手のSBは確実に迷う。SBの気持ちとして、俺だったら厄介だなと思った」

 長友は3-4-3の習得は、日本が強くなるための“必要条件”だと力説する。この日はザッケローニ監督の取材対応はなかったが、指揮官の思いは、W杯予選はもちろん、W杯本番で勝つために、さまざまなオプションを増やしたい一心だ。

 チェコ戦でも3-4-3を試す可能性が高く、ペルー戦は途中出場のため新システムを試せなかった長友は「ちゃんとした相手でどのくらい機能するのか、やってみたい」と意気込む。指揮官の熱血指導を吸収し、チェコ戦では結果も内容も得るつもりだ。

[写真]本田(左)と長友(右)を呼び止めて指示を送るザッケローニ監督

(取材・文 近藤安弘)

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