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[JFL]町田が『Jへの門番』を撃破

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[JFL前期第15節]

 町田ゼルビアは12日、ホームで難敵・HONDA FCと対戦し1-0で勝利した。この日は攻守の要のFW勝又慶典とDF津田和樹を欠く苦しい布陣。さらに、前節で大敗を喫した影響もあってか若干のメンバー変更があったが、『Jへの門番』と言われる相手を倒して首位FC琉球と4差の勝ち点14とし、8位に浮上した。

 前節の長崎戦に1-5で敗れ、その“後遺症”が心配されたゼルビアだが、代わりに出場した選手が奮闘し、これまでと遜色のないサッカーを披露した。試合に飢えている選手たちが、闘志剥き出しのプレーを披露することで、チームに良い効果を与えていた。

 欠場した勝又に代わって先発出場したFW山腰泰博は、相手DFと激しく競り合いながら前線で攻撃の起点を作った。本来のMFとしてではなくセンターバックとして出場したMF太田康介は、持ち前の球ぎわの強さを活かして何度も相手FWからボールを奪った。MF星大輔とGK修行智仁も今季初出場ながら、安定したプレーを披露した。

 多くの時間帯でゼルビアが主導権を握ることができた。前線の高い位置でボールが繋がり、Honda FCを相手陣内に押し込む時間帯を作ることができた。試合終盤は、得点するしかないHondaの猛攻を浴び、ヒヤリとする場面もあったが、52分に奪った鈴木崇文のゴールを守り切ることができた。

以下、試合後のコメント

ランコ・ポポヴィッチ監督
「両チームともに健闘し、素晴らしい試合となりました。私たちも今日は質の高いプレーが出来ましたが、Honda FCもレベルの高いプレーを披露していました。JFLの他の試合と比べても、レベルの高い、見応えのある試合になったと思います。
 私たちは、これまで主力として活躍してくれていた勝又と津田という2人のプレーヤーを欠くという難しい状況でした。しかし、今日出場した選手たちが奮闘し、これまでとまったく遜色のない、レベルの高いサッカーを披露してくれました。そのことに、大きな価値があります。
 今日、センターバックとして出場した太田は、もともとはMFの選手です。公式戦でDFを務める経験は少なかったと思いますが、素晴らしい活躍をしてくれました。山腰は、なかなか先発の出場機会がないにも関わらず、しっかりと自分の役割を試合終盤まで果たしてくれました。
 確かに前節の大差での敗戦は非常に悔しいものでしたが、すべての選手・スタッフが今日の試合に勝利するために集中し、戦うことができた成果だと思います。前節の敗戦から、私たちはしっかりと学ぶことができました。
 泰成(藤田)のおじいさんがお亡くなりになり、今日がお葬式でした。彼が、そのことを私に伝えたのは、今日、試合が終わってからのことでした。泰成の心情を察すると、とても難しい状況だったと思いますが、彼はチームに残ることを選択し、私たちと一緒に戦ってくれました。そして、出場停止の津田に代わり、キャプテンを務め、立派にその責任を果たしてくれました。
 彼は、プレーヤーとしての素晴らしさだけではなく、一人の人間としての強さも証明してくれました。私は、監督就任以来、選手やスタッフに『サムライスピリット』を求めて来ましたが、まさに、こうした行動こそが、私の考えるサムライスピリットです。泰成に限らず、チームの皆が仲間への犠牲心を持って戦うことができています。
 こうしたことが、今日の勝利に繋がったのだと思います。天国にいる泰成のおじいさんにとっても、泰成が今日発揮してくれたパフォーマンスと結果は、最高のプレゼントになったのではないでしょうか」

-今日の試合だけ見れば、2位のHonda FCと9位のゼルビアの順位が逆なのでは?という感想を持ってしまうほど、ゼルビアが上回っていました。こうした内容のサッカーをすることができたチームがなぜ9位なのか? ポポヴィッチ監督はどのようにお考えですか?
「先ほどの質問への答えとも重複して来ますが、まだ私たちは新しいチームです。コンスタントに力を発揮できていません。確かに、前節の敗戦は本当に悔しいものでした。私は、大の負けず嫌いですので、夜も眠れないほどでした。でも、歩んで来た道を変えることはできません。自分たちが選んだ道を、信じて戦うことこそが、勝利への近道だと信じています。
 前節の敗戦で、私がもっとも悔しかったことは、私たちのプレーは決して相手に劣っていなかったということです。相手と互角以上の戦いをしながら、結果は大差での敗戦となってしまいました。結局のところ、相手に敗れたというよりも、自分たちに問題があり、あのような結果になったのだと思います。私は試合前に、いつも選手に1つだけ約束を作ります。『自分の持っている力を、最大限出し切ること』。今日は、最高の形で、その約束を果たしてくれたと思います」

●MF鈴木崇文
「ここ最近は、納得のいくプレーができていませんでした。そして、前節のあの大敗。今日は絶対に内容と結果を残さないと駄目だと気合いを入れていました。前半は左サイドにポジションをとりました。サイドバックの泰成さんとコミュニケーションを取りながら、スムーズにマークの受け渡しなどもできたと思います。そうしたこともあり、高い位置でボールに絡む機会も数多く作ることができました。その点は良かったと思いますが、せっかく絡んでもミスが多かったので、その部分は課題です」

-得点のシーンを振り返って。
「ファーストタッチで中へ切り返して相手と身体を入れ替えようと思ったのですが、うまくコントロールできませんでした。でも、落ち着いて身体を入れて持ち直し、対面する相手DFと、もう一人、はさみに来ようとしていた相手DFの間を割って中央へドリブルを仕掛けました。シュートを撃つ場面で、相手DFが飛び込んで来ることは予想していたので、その相手DFの股の間を狙ってシュートを撃ちました」

-次節のAC長野パルセイロ戦へ向けて。
「連勝して、良い流れに持って行きたいと思います。観客の皆さんに楽しんでもらえるようなサッカーで長野に勝利したいと思います」
 
●MF太田康介
「公式戦でセンターバックでプレーするのは本当に久しぶりですね。ほぼ初めて、と言っても良いくらいだと思います。難しいことは考えずに、とにかく失点しないことだけを考えてプレーしていました」

-相手FWの前に飛び出して行って、インターセプトする場面が目立ちました。
「ボランチより1列後ろにいる方が、周囲が良く見えました。もちろん、センターバックは最後のラインなので、前に飛び出すことにリスクはありますが、ボランチの場合は360度に気を配る分、判断が難しい局面もあります。まだまだ判断に迷いが生じてしまう場面はありましたが、最後尾のセンターバックの方が思い切って相手ボールに食いつくことができる場面もありました」

-プレーに気迫が漲っていました。
「もちろん、ポポヴィッチ監督が目指す美しいパスサッカーを実現させることも大事。でも、まず、サッカーって、そういう『戦う気持ち』とかが大切だと思うんですよね。そんなことは、監督に教えてもらうことではない。持っていて当たり前のもの。まず、その部分で相手に負けていては、絶対に試合に勝てないと思ってプレーしています」

[写真]貴重な先制ゴールに喜びを爆発させる選手たち

(文 町田ゼルビア)

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