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[JFL]元“J戦士”の町田DF藤田、亡き祖父に捧げる白星

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[JFL前期第15節]

 町田ゼルビアは12日、ホームでHONDA FCと対戦し1-0で勝利した。この試合、一つの想いを背負いながらプレーしていた選手がいた。名古屋、FC東京、東京V、徳島に在籍していたことがある町田DF藤田泰成だ。実は8日に実家の高知・黒潮町に住む祖父を癌で亡くし、試合当日の12日は葬儀・告別式が行われていた。

「亡くなったことは、監督にもチームの人にも誰にも言いませんでした。もし、試合で自分の調子が悪かったときに、それが言い訳みたいになるのが嫌だったんです。それに、おじいちゃんは、俺がサッカーをやるのをいつも楽しみにしてくれていたので。HONDA FC戦は、おじいちゃんが空から、ちょっとでも見てくれたら良いなと思ってプレーしました」

 チームには一切告げずに先発フル出場。左SBに入って持ち味の運動量と攻撃参加を見せた。前節のV・ファーレン長崎戦で1-5大敗した後だけに、何としても勝ち点3が欲しいと必死に戦った。さらにこの日は、キャプテンのDF津田和樹が出場停止のため、代わりに藤田がキャプテンマークを任された。「試合前に、マネージャーから渡されて、俺なの!? と。おじいちゃんのことは誰にも言ってないので、ほんと偶然でした。俺が巻くのは、何かあるのかなと思いました」と藤田。そんな状況下で難敵から1-0勝利をつかんだ。祖父に捧げる白星だった。

「子供のころから、いろんな試合を見に来てくれていた。Jリーガーになるのを応援してくれてた。プロになってからも、地元でやる初蹴りとかでも見に来てくれてたし、徳島でプレーしてたときは、何回も高知から試合を見に来てくれていた。徳島時代の愛媛FCとのダービーでは、おじいちゃんが見に来てくれて、俺が点を取った試合もあるんですよ」

 自身がJ2初ゴールを決めるなどして6-0大勝した2009年8月1日の四国ダービーなど、祖父との思い出を明かした藤田。この試合のゴールはそもそも、名古屋時代の2000年に決めたJ初ゴールに続く9シーズンぶりのリーグ戦ゴールだった。藤田に“見えない力”を与えてくれていたのだろう。そして、これからも天国で一番の応援団でいてくれるはずだ。

 そんな祖父とは、妻と子供を連れて5月23日と24日に実家に戻り、お見舞いに行っていたという。言葉は交わせない状態だったが、「俺たちが行ったら、笑ってくれた」。その笑顔を忘れず、今後のJリーグ昇格に向けた戦いの励みにするつもりだ。「とにかく今年はチームがJ2に上がれるように頑張りたい。シーズンが終わって、おじいちゃんにJ2昇格を報告できたらと思います」。町田サポーターの悲願を叶えるため、そして祖父への恩返しのため……。藤田は新たな決意を胸に、これからもピッチを走り回る。

(取材・文 近藤安弘)

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